葬儀場にはもちろん暖房設備はあったのだが、扉を開けたり閉めたりしていたせいで、さほど暖かくはなかった。 室内なので、身に羽織っているのは礼服のみである。 これでも動いていれば何ということはないのだろうが、葬儀中に動くわけにはいかない。 ということは、その間ずっと寒い思いをしなければならないわけだ。
寒くなると、困ることがある。 それはトイレが近くなることである。 前日は気を遣って疲れた上に、さらに寝不足まで加わっている。 そこで葬儀の最中は居眠りでもしていようと思っていたのだ。 もしトイレがしたくなりでもしたら、その貴重な時間を尿意に奪われてしまう。 しかも、ぎっしり人の詰まった斎場なので、葬儀中は移動が難しいときている。
そこで、葬儀の最中ゆっくり居眠りが出来るように、あらかじめトイレに行っておくことにした。 祭壇の横手にあるトイレに入っていくと、そこに坊さんがいた。 今日の導師である。 おそらくぼくより2,3分前に入ったと思うのだが、チビチビと小便をしていた。 ぼくは軽く会釈をし、その横で小便をした。 それからおよそ1分後、ぼくは小便をし終わってその場を離れたのだが、坊さんはまだ音を立てて小便を流していた。 坊さんがトイレから出てきたのは、ぼくが出てからおよそ3分後だった。 ということで、坊さんは6,7分トイレにいたことになる。 もちろん手を洗う時間はあったのだろうが、小便にいったい何分費やしたのだろうか? もし、そこに便器が一つしかなかったとしたら、けっこう長い時間待たされたはずだ。
その坊さん、おそらくは前立腺が悪いのだと思う。 年はぼくと同じぐらいだったが、きっとぼくより不摂生しているのだろう。
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