盆暮れになるといつも、嫁ブーの会社からぼく宛に贈り物が届く。 以前はタオルや寝具が主だったが、近頃はそうめんだとか入浴剤なども送ってくるようになった。 何日か前にその贈り物が届いたわけだが、今回のは入浴剤だった。
前に入浴剤が送ってきた時は、別府・草津・箱根といった有名な温泉地のものだった。 ぼくが実際に行ったことがあるのは別府だけだが、そのにおいを嗅いで、ちょっとがっかりした。 別府温泉のにおいというより、入浴剤特有のにおいだった。 他の温泉にしても同じようなにおいがした。 おそらく、色だけで地域名をつけたのではないだろうか。
さて、今回送ってきたのは、そういう温泉の定番ものではなかった。 何と『秘湯』ものなのである。 中を開けると、黒川・乳頭・姥湯・地獄谷の四種の入浴剤が入っていた。 これは『秘湯』なのだろうか。 この中でぼくが行ったことがあるのは黒川温泉だけだが、現在黒川温泉を『秘湯』と呼ぶ人は少ないだろう。 昔は確かに秘湯だったかもしれない。 だが、今では由布院と並ぶメジャーな温泉地になのだ。 他の温泉も、おそらくそうなのではないだろうか。
とはいえ、わざわざ『秘湯』と自信を持って書いているのだから、定番のものよりもまともなのではないかと思い、今日試しに黒川温泉に入ってみた。 その入浴剤を開けたとたん、「えっ?」となった。 その色がオレンジっぽいのだ。 浴槽に入れても、そんな感じの色になった。 黒川温泉は由布院と同じく無色透明だったはずだが…。 と、においを嗅いでみると、何となく黒川らしいにおいがした。 ま、こんなもんだろう。
しかし、この先秘湯が増えてくると、『南阿蘇』とかも出るのだろう(もう出ているかもしれない)が、その際においはどうするのだろうか? あの温泉は硫黄臭が強いのか、屁のにおいがするのだ。 温泉だから許せるが、家の風呂が屁のにおいというのはいただけない。
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