ぼくはこれまであまり小説というものを読んだことがない。 一番本を読んでいた20代・30代は思想書、宗教書、ビジネス書、エッセイなどを主に読んでいた。 小説は、中学生の頃に夏目漱石、高校生の頃に遠藤周作(ユーモア小説のみ)、20代前半に歴史小説や若干のSF物を読んだくらいだ。 なぜ小説を読まなかったのかというと、人の作った物語に価値を感じなかったからである。
40代に入ると歴史書を中心に読むようになった。 学生時代に途中までしか習わなかった、近代史を完結させたかったのだ。 これが46歳頃まで続く。
その後、興味はマンガのほうに移っていった。 『20世紀少年』が発端になった。 それ以来、これまで読み逃していたものを買い集めて、何度も何度も読み返した。 人の作った物語という点からすればマンガだって同じなのだが、マンガのほうは読むのに時間がかからないし、画だけ見てもある程度内容は把握できる。 マンガにだって、人生もあり、思想もある。 画がある分、その印象は深い。
マンガを読み出してからしばらくは、歴史書も読んでいた。 だが、好きな著者の分はあらかた読んでしまったので、興味が薄れていった。 そのため、ここ2年ばかりはマンガばかり読んでいた。 こればかりは何度読んでも飽きない。 プー太郎生活のよき友となってくれていた。
ところが最近、映画やドラマを見ると、必ずといっていいほど原作が読みたくなるのだ。 それで、今まであまり読んだことのない小説を読むようになった。 最近読んだ本は、『いい女』『嫌われ松子』『地下鉄に乗って』『手紙』などである。 映画やドラマで内容は知っているものの、活字で読むと、また趣が違ってくる。 微妙に内容が変わっていたり、原作に存在しない人物がドラマには出ていたりで、そういうのを確認しながら読むのもまた楽しい。 当分、小説から離れられそうにない。
ただ、小説を読むのに、けっこう時間がかかってしまうのが難点ではある。 まあ、最初に読んだ『いい女』の時に比べると、早く読めるようにはなってはいるが、それでも1冊につき2,3日を要してしまう。 20代に歴史小説を読んでいた頃は、1日に2冊は読むことが出来たのだ。 やはり、読書にも慣れというのがあるのだろう。
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