現在オリジナル曲が200曲近くあるのだが、まだ歌詞の付いてない曲や曲として完成してない曲を含めるとその数倍の数はある。 そういう曲をどうやって記録していたのかというと、カセットテープに吹き込んでいた。 ぼくは楽譜が書けないので、それしか方法がなかったわけだ。 ところがテープはすぐに伸びたりカビが生えたりするので、永久保存には向いてない。 現に何本かのテープはダメになった。 これは聞いている時に、テープがヘッドに巻き付いてしまったためである。 すぐにダメになったテープに入っていた曲を思い出しながら録音し直したのだが、元通りになったわけではない。 何曲かは抜けてしまっているのだ。
貴重な記録をこういうことで失うのは実に悔しいものである。 そこでコピーをとっておくことにした。 コピー、つまりダビングである。 そうすれば、仮にダメになっても、もう1本テープがあるから大丈夫だからだ。
しかし、この場合難点がある。 それは、音がかなり劣化してしまうということだ。 記録しているのは、ほとんどが学生時代のもので、その頃録音に使っていた機材はナショナルのラジカセだった。 こればかり敵のように使っていたため、かなり音が悪くなっているのだ。 しかも、カセットテープのお荷物であるヒスノイズ付きである。 それをダビングするのだから、とても聴けたものではない。
「これは困った、テープ以外に何かいい方法はないだろうか?」と探したのだが、カセットテープに変わるものが見つからない。 しかたがないので、ハイファイビデオに収めたりもしたのだが、これとてビデオテープを使用するので、永久保存は出来ない。
そういう時に世に出たのがMDである。 『ディスク』『デジタル録音』、探していたのはこれである。 さっそくぼくはMDの機械を購入し、カセットテープに入っている曲をすべてMDにダビングした。 その時はそれで満足したのだった。
ところがパソコンを始めてからは、録音や再生にパソコンを利用するようになり、そのせいでMDを利用することがなくなった。 カーオーディオもCDオンリーだから、MDは使えないし…。 ということで、MDも無用の長物化してしまったのだ。
そこでそれらの曲すべてを、パソコンにうつし変えることにした。 パソコンに入れておきさえすれば、いろいろ便利である。 何よりも「その曲」が聞きたい時に、すぐに取り出すことが出来るのがいい。 もちろんMDでもそれは出来るのだが、その際まず「その曲」が入っているディスクを探すことから始めなければならない。 その点パソコンは、そういう面倒がない。 保存しているフォルダがわからなくなっても、検索すれば一発で出てくるのだ。
さて、そんな化石化した利用価値のない曲を、時間をかけて何百も保存して、いったい何になるのかというと、とりあえずは何にもならない。 「青春の遺産です」とでも言えば格好もつくのだろうが、そんないいものではない。 ただの趣味である。
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