「あのー、このブログの右サイドにある『おみくじ』なんですけど…、何度やっても大凶とか凶なんですよね。どうにかなりませんか」 「どうにもなりませんよ」
「どうしてですか?」 「あれは借りてきたもので、別にぼくが作ったわけではないんですからね」
「えっ、そうなんですか?」 「ええ、そうなんです」
「私は、しんたさんが作ったものだとばかり思ってました」 「ぼくにはああいう高度なものは作れませんよ」
「いや、あまりに大凶と凶が多いので、てっきりしんたさんが大吉や吉を独り占めしてるんじゃないかと思ったものですから…」 「そんなことはない。ぼくも朝一番にやってみるんですが、最初に出るのは決まって大凶なんですよ。2回目もそうだし、3回目でやっと末吉とか小吉とかです。一度も大吉が出たことはありません」
「それを聞いて安心しました。大凶は私だけじゃないんですね」 「そうですよ、気にしないで下さい。それに大凶というのはラッキーじゃないですか」
「えっ、どうしてですか?」 「だって、一日の運を、そこで使わずにすむわけですからね」
「ああ、そうですね」 「運は他で使いましょう」
「そうします。しかし、ものは考えようですね」 「そうですよ。それに、大凶だからこそ、一日を緊張感持って過ごせるんじゃないですか。緊張感のない一日なんて、何も良くはありませんよ」
「なるほど。…ということは、大凶と出たら、大吉と捉えていいということですね」 「ええ、そうです。そう捉えてください」
「ありがとうございました。これで気が楽になりました」 「いえいえ、ぼくも気が楽になりましたよ」
「えっ…?」
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