| 2006年07月10日(月) |
ゲッティング・ベター |
この間ビートルズの話をしたが、ではぼくはビートルズの中でどの曲が一番好きかと問われれば、ちょっと答に窮してしまう。 どの曲も想い出に残っているものだし、どの曲も音楽的に影響を与えられたからだ。 メロディライン的に言えば、『フール・オン・ザ・ヒル』が好きなのだが、メロディラインが絶対とは思ってないので、それを上げることは出来ない。 では「詩は?」というと、すべてが「愛」に繋がっているわけだから、どれも甲乙付けがたい。 ということで、しろげしんたのビートルズ・ベスト1は、該当なしということになる。
ただ、一つだけ、これはベスト1だと言えるものがある。 それはタイトルだ。 で、どの曲のタイトルがベスト1なのかというと、『ゲッティング・ベター(Getting Better)』である。 ビートルズの最高傑作と言われているアルバム、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のA面(懐かしい表現でしょ?)4曲目の曲だ。
実は高校3年の時に落ち込んでいたことがあったのだが、その時勇気づけられた歌が、その『ゲッテイング・ベター』だったのだ。 それまでビートルズといえば、ぼくの中では、ただ漠然と聴く音楽だった。 ところが、ひょんなことから『ビートルズ詩集』なるものを手に入れて、それを読んでいくと、「よくなっていく」というタイトルを見つけた。 それが『ゲッティング・ベター』だったわけだ。
「よくなっていく」、この言葉を目にした時、気持ちが楽になるのを感じた。 そこで、ぼくは念仏のように、いつも口の中で「ゲッティングベター」と唱えていたのだった。 それでなんとか落ち込んだ状態から、抜け出せたのだ。
後年、本屋で立ち読みをしていると、そこに「私は日に日によくなっていく!」というサブタイトルの本を見つけた。 タイトルはたしか『自己暗示術』だったと思う。 ぼくはそれを見て「おっ」と思い、その本を手にとって読んでみた。 すると、そこには「自分にこの言葉をずっと言い続けると、つまり自己暗示をかけると、本当によくなっていく」というようなことが書いてあった。 少なくとも、未来は今より悪くはならないと思えてくるということだった。 「日に日によくなっていく」、つまり「ゲッティング・ベター」である。
なるほど、高校時代に「ゲッティング・ベター」と唱えたのは、間違いじゃなかったわけだ。 なぜなら自己暗示術の理に適っていたのだから。 「ゲッティング・ベター」か。 また言い続けてみようかな。
|