1ヶ月ほど前に、先輩から電話がかかった。 ぼくの仕事の件で、結構長い時間話していたのだが、なかなか話が尽きない。 そこで、後日会おうということになった。 日時は先輩から連絡するいうことだった。
ところが、いつまでたっても先輩から連絡は入らない。 そのうちぼくもそのことを忘れてしまっていたのだが、先週の金曜日にようやく連絡が入った。 「明日、都合はいいか?」 突然、こう切り出したから、何のことかわからない。 そこで、 「えっ、何のこと?」と聞いてみると、 「前に会おうと約束しとったやないか」と言う。 「ああ、あの件ね」 「おまえんとこ近くにファミレスがあるやろ」 「たくさんあるけど…」 「じゃあGにしよう。そこで12時に待っとくけ」 「わかった」
ということで、土曜日の12時にそのファミレスGに行った。 駐車場に着くと、先輩はまだ来てないようだった。 店の中で一人で待つのも嫌だから、その駐車場で待っていることにした。
先輩がやってきたのは、ぼくが着いてから10分ほどしてからだった。 ぼくが本を読んでいると、ぼくの車の横に車が入ってきた。 見ると先輩である。 そこで車を降りたのだが、先輩は挨拶めいたことも言わず、唐突に、 「おまえ、朝飯食うたか?」と聞いてきた。 「食うたよ」と答えると、 「おれも食ったけ、ここはフリードリンクだけにしとこう」と言う。 ぼくはてっきり1時間くらいで話は終わると思っていた。
ところが、話が長引いてしまい、結局そのファミレスを出たのは4時を過ぎていた。 頼んだのはフリードリンクのみである。 アイスコーヒー、アイスティ、またアイスコーヒー…。 いくらフリーとはいえ、これだけ飲めばうんざりしてくる。
その間、何度かランチを頼もうとした。 だが、その都度先輩はそれを見透かしたように、 「今日はなかなか腹が減らん。フリードリンクで充分やのう。そうやろ?」と同意を求めてくるため、なかなかランチを切り出せない。 いや、別に先輩のことを気にする必要もなかったのだが、その先輩はいつも奢ってくれているので、その日もいつものように奢りだろうと思って遠慮していたわけだ。
さて、帰る間際、先輩は意外にも、 「今日は奢ってね。はい、ごちそうさん」 と言って、さっさと店を出て行った。 精算しながらぼくは、「こちらの奢りなら、最初からランチを注文しておけばよかった」と後悔したものだった。 空腹で気分は悪いし、その店の換気が悪いせいか頭は痛くなるし、冷たいものの飲み過ぎで腹は痛くなるし、もう最悪だった。
で、話はというと、先輩せいで、あまり記憶に残っていない。
|