産経新聞トップに『ニート』という若者が増えている、という記事が載っていた。(5月17日付朝刊) 『ニート』、初めて聞く言葉である。 これは無業者のことらしい。 無業者と聞くと、すぐに『フリーター』を連想してしまうが、『フリーター』と『ニート』の決定的な違いは、働く意欲があるかどうかにあるという。 もちろん『フリーター』は、アルバイトに精を出しているわけだから、その形態にいろいろと社会的な問題はあるにせよ、勤労意欲だけは持ち合わせている。 ところが『ニート』のほうは、その勤労意欲がない。 つまり、怠け者だということだ。
その『ニート』にもタイプがあるらしく、大別すると『ヤンキー型』『ひきこもり型』『立ちすくみ型』『つまずき型』の四種類に分かれるのだそうな。 『ひきこもり型』=社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ。 『立ちすくみ型』=就職を前に考え込んでしまい行き詰まってしまうタイプ。 『つまずき型』=いったんは就職したものの早々に辞めてしまい、自信を喪失したタイプ。 この3種類は「さもありなん」とうなずけるところがある。 が、『ヤンキー型』というのは何なのだろう。 ネーミングからして、いかにも間抜けそうではないか。 解説では、[反社会的で、享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ]となっている。 まさしくそのとおりであるが。 そうか、あいつら仕事してなかったのか。 まあ、あれでは企業も採用しないだろう。 ところで、街でよくヤンキーたちを見かけるが、ああいうのを見るとつい日本的なものを感じてしまう。 ところが、どうもそうではないらしいのだ。 「先進国特有のタイプで各国に共通して存在」しているのだそうな。 ということは、欧米にも、夜中コンビニにたむろして、「うぜーんだよ」などと言っている輩がいるということか。
さて、こういう記事を見ると、ぼくはつい自分の若い頃を思い出してしまう。 ぼくは若い頃に長い浪人生活を経験しているが、その間アルバイトもしていない時期があったから、ぼくが今の若者だったら、おそらくぼくもこの『ニート』という括りになっていただろう。 その際、ぼくはどの分類になるのだろうか。 もちろん『ヤンキー型』ではない。 なぜなら、その頃一度だって「楽しい」と思ったことがなかったから、「今が楽しければいい」という分類には当てはまらないのだ。 また『つまずき型』でもない。 その浪人期間には、一度も就職をしてないからだ。 『立ちすくみ型』でもなさそうだ。 確かに行き詰まってはいたものの、考え込んではいなかった。 自分の運命を信じ、いつも「今にいい風が吹いてくる」と思っていたのだから。 では、『ひきこもり型』になるのか。 ぼくが引きこもっていたのは約2ヶ月だったから、確かにその間は『ひきこもり型』だったかもしれない。 しかし、社会との関係を築けなかったわけではない。 高校時代ほどではないけれど、それなりにコミュニケーションはとっていた。 だから、外部の情報だけはいろいろと入ってきていたのだ。 いわば、江戸期の日本のようなものだった。
ところで、仕事をしない人が必ず口にするのが、「仕事がない」である。 ぼくも口にしたことがある。 しかし、これは言い訳にすぎない。 なぜなら、選り好みさえしなければ、仕事はいくらでもあるからだ。 いわゆる『ひきこもり型』時代、ぼくは母から、いつもそこを突かれていた。 「あんた、いつまでブラブラしとくつもりね?」 「だって仕事がないんやもん」 「何が仕事がないね。新聞見てみなさい。いくらでも仕事はあるやないね。仕事がないんやない。仕事をする気がないんやろう。今月中に仕事探してこな、家を追い出すけね」 ぼくの『ひきこもり型』時代が、2ヶ月間と比較的短かくてすんだのは、母のこの突っ込みがあったからだと思う。
『ニート』と呼ばれる人たちは、親にパラサイト(寄生)して生活するケースが多いと言うから、それを防ぐためには、親が甘やかさないことが肝要だということになる。 記事では、『ニート』現象を社会のせいだというようなことを書いてあるが、「決してそうではない」とぼくは思う。 親の教育によるところ大なのである。
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