| 2004年05月05日(水) |
さて、何をしようか(下) |
「さて、何をしようか」と最終的にやったことは、今度プレイヤーズ王国で発表する歌の録音だった。 前回の『月夜待』が思ったほど反響がなかったので、起死回生の一発を、というような大げさなものではなく、ただの繋ぎの曲である。 夏に、2曲ほど上げようと思っている曲があるのだが、その間に上げる曲が見つからない。 実は、ぼくはこの季節の歌を持ってないのだ。 そのため今回は、季節感のない歌を選んだ。
その録音だが、今回から、また一発録音でやることにした。 なぜかと言うと、前回の『月夜待』の時は、慣れない多重録音だったため、もう一つ乗らなかったためである。 ぼくの場合、多重録音といえば、ギターを最初に録音して、そこに歌をかぶせていくやり方だ。 それをやる場合、歌の録音の時に、最初に録音したギターの音が入らないようにしなければならない。 そのためにヘッドフォンを用いるのだが、それが嫌だった。 いい歳をしたおっさんが、ヘッドフォンをして、背中を丸めて黙々と歌をうたっている。 しかも第三者的に見ると、その空間にはおっさんの歌以外に音はないのである。 実に異様な光景だと言わざるをえない。 その反省を踏まえて、今回から、昔のスタイルに戻し、一発録音をするようにしたのである。
その一発録音であるが、一発録音であるがゆえ、例えば間違った部分のやり直しがきかないのだ。 もちろん、全部録り直せばいいことである。 しかし、それをやるには、その箇所以外は最高のできだった場合、一から録り直すのがもったいない。 また、その時間がもったいなくもある。 それに比べると、多重録音は、間違った部分だけ取り直しすればいいだけだから楽である。
そういう理由から、一発録音というのは、誰も聞いてはないとはいえ、緊張するものである。 以前は間違えても聴くのはぼく一人だったから、少し間違ったくらいで気にはならなかった。 ところが、プレイヤーズ王国で歌を公開しだしてからは、たとえそれがつなぎの歌であっても、間違いが許されなくなった。 以前の一発録音でも多少緊張感はあったが、それとは比べものにならない。 とにかく、咳払いも出来ないのだから。
通常、録音が終わると、それにエコーを入れたり、音質をいじくったりするわけだが、今回はなるべく原音に近づけることにした。 ぼくが、頑張る40代を書いている部屋で歌っている雰囲気を出したかったからだ。 音のごまかしがないから、雑な演奏があらわになったが、音自体はわりとクリアに仕上がっている。
ということで、「さて、何をしようか」の結末は、新曲の録音に行き着いた。 おそらく、後年この日を振り返る時は、「ああ、つなぎの曲を録音した日か」ということになるはずだ。
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