ぼくが小学生の頃、八幡製鉄創業の日である11月18日は学校が休みだった。 その日を中日とした3日間、八幡製鉄所が主体となって起業祭という祭を行っていた。 目玉は何と言っても八幡製鉄所の工場見学で、当時は一般の人が工場を見学することが出来なかったから、この工場見学は貴重であった。 学校が休みだったのは、この工場見学をさせるという意図があったのかも知れない。
街はというと、普通の祭と変らない縁日風景。 メインステージに有名な歌手が来て歌い、サーカスやモーターショーといったイベントが祭を盛り上げていた。 そこに多くの市民が集まっていた。
さて、その頃は何故か寒かった。 ぼくは毎年行っていたのだが、いつも雪が降っていたような記憶がある。 いや、正しくは雪が降らない時もあった。 が、かなり厚着をして起業祭に行っていたものだ。
これはぼくだけの記憶ではなく、多くの人がそういう記憶を持っている。 「昔、起業祭は雪が降っとったもんね」 今でも、よく聞く言葉である。 それだけ昔は寒かった。 また、それだけ今は暖かいということだ。 これも地球温暖化のせいなのだろうか。
ところで、現在この祭は11月3日前後に行われている。 祭の名前も『八幡製鉄起業祭』から『まつり起業祭』と変わり、主催者も民間の手に移った。 文化の日を利用しているので、起業祭単独で学校が休みになることもなくなった。 おまけに寒くもなくなった。 今夜、ぼくは半袖を着てコンビニに行ったのだが、それでも寒くはなかった。
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