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2003年06月19日(木) 続・台風6号

【8時40分】
いつもより早く出勤した。
もちろん渋滞を恐れてのこともあったし、木曜日は商品の搬入日であるからだ。
ラジオでは「北九州地区を除く福岡県全域の西鉄バスは運休」と言っている。
これは、北九州地区が県内で一番東側に位置しているので、雨風による影響が他の地域に比べるとまだ少ないためである。
しかし、台風が東に向かっている以上、ほどなくこちらも交通機関はストップするだろう。
そう思って車を進めて行った。

渋滞はまったくなく、車の数は普段より少ないくらいだった。
ところが、今日はタイミングが悪かった。
途中信号で何度も捕まった。
結局、通勤時間はいつもと変らなかった。

【9時20分】
会社に着き、「さてテレビで台風情報でも見ようか」と思った矢先のことである。
店長がぼくを呼んだ。
『何だろう?』と思い、事務所に行ってみると、店長が「今日からの売出価格のデータが全部飛んだんよね。リスト持ってきて、打ち直してくれん」と言う。
「えっ!」
台風情報どころの話ではない。
100件近いデータを、開店の10時までに入れ込んでしまわなければならない。
開店までじっくりと台風情報を見ようというぼくの計画は、そこで吹き飛んでしまった。

【11時】
こういう天気なので客足は悪いと思っていたが、案に違い、かなりの人出だった。
そのため、開店から接客に追われ、なかなか台風情報を見る暇がなかった。
台風情報にたどり着いたのは、まもなく11時になろうという時だった。
見ると、北九州の交通機関はすべてストップしている。
台風は、長崎の五島列島を通過したとのことだった。
しばらく台風情報を見た後で、ぼくは外の状況を見に行った。
「始まった!」
大雨である。
街が白く濁っている。
思わずぼくは、店の外に出た。
大雨を体感したかったのである。
雨がぼくの体を濡らしていく。
ところが、雨の勢いとは裏腹に、雨の粒が細かいのだ。
「ドドー」という滝のような雨ではない。
ただの「ザーザー」雨が激しく降っているだけだ。
「まだまだやなあ」と思いながら、ぼくは店の中に入った。

【13時】
それからしばらくして雨は小降りになった。
風もそこまで強くない。
台風情報を見ると、福岡市の状況が映し出されていた。
「えっ!?」
何と、通行人の傘が吹き飛ばされているではないか。
しかも、強風で沿道の樹木が倒れたと言っている。
それに比べて、こちらは何だ!?
風は強くなっているものの、樹木の上の方が揺れているだけである。

【13時40分】
ついにやってきた。
沿道の樹木がかなり強く揺れている。
再びぼくは外に出てみた。
「おおーー!!」
体ごと持って行かれそうな風である。
地面の砂が吹き上げて、ぼくの顔を殴りつける。
久しぶりの感触である。
ぼくは必死でこの風を受け止めようとした。
が、風の勢いは強く、2,3歩退いた。
もう一度、ぼくはチャレンジした。
しかし、あいかわらず風がぼくの体を持って行く。
その体感を楽しんでいると、店の窓から店長の声がした。
「あんた、何しよるんね」
「風と闘っています」
店長はあきれて笑っていた。

風の状況を説明しようと売場に戻った時だった。
正面玄関のドアが開き、空のカートが2台、店の中に飛ばされてきた。
カートは10メートルほど店の中を走ったあと、静に停まった。
こんな面白い光景にお目にかかれるとは、さすが台風である。

その時だった。
「男子従業員は店頭に集合」という店内放送が入った。
行ってみると、エクステリアのひさしが落ちている。
風でひさしを支えているフレームが折れたのだ。
いよいよすごい風になった。
この機を逃すものかと、ぼくは2階の屋上駐車場に駆け上がった。
そして、風を受け止めた。
1階の差ではない。
かなり強い風である。

そこでぼくは、一つの実験をした。
それは垂直跳びである。
跳び上がって、元の位置に戻れるかどうか確かめたかったのだ。
やってみると、50センチほど先に着地した。
風に押されている、いや飛ばされているのだ。
何度やっても、同じ結果になる。
快感だった。

【午後3時40分】
風は収まり、真っ青な夏空が広がった。
暑い。
今の季節が夏だということを、改めて思い知らされた。
台風はすでに山口県沖に移動し、日本海に抜けたという。
交通機関は徐々に回復に向かっている。
ようやく祭りは終わった。


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