| 2003年03月07日(金) |
出張の思い出 その5 |
その夜、食事が終わってから、大阪を案内してもらった。 大阪の地理がまったくわからないので、どこを歩いているのかわからない。 しばらく行くと、そこに有名な風景があった。 グリコのネオン。 テレビや映画で見たことはあるが、実際に見るのは初めてだった。 有名なものを見せられると、変に感動するものである。
その後、法善寺横丁にも行った。 実に風情があっていいところだ。 ぼくは線香臭いところが好きである。 線香のにおいを嗅ぐと、何か落ち着くのだ。 東京にいる時、月一度浅草寺に行っていたのも、線香のにおいを嗅ぐためだった。 もしまた大阪来るようなことがあれば、法善寺横丁には必ず行きたいと思ったものだ。 しかし、一人では行けないだろう。 前に一度失敗しているし、その出張の時も結局は人の後ろを歩いただけだったからだ。
そういう意味では、東京の出張は楽だった。 あるメーカーさんが「今度、東京で新製品発表会をやりますので、ぜひ来て下さい」と言ってきた。 「東京のどこ?」 「新宿のセンチュリーハイヤットです。場所がわからないと思いますんで、今度地図を持ってきます」 「いや、別にいいよ」 東京の地理は、そこに住んでいた頃いつも歩き回っていたので、充分にわかっている。 『新宿』『センチュリーハイヤット』、この二つのキーワードを聞いたとたん、イメージの中ではそこに行き着いていた。
その東京出張の時は、発表会は午後2時からだったので、そんなに早く出る必要もなかった。 朝9時に家を出、バスで福岡空港に向かった。 搭乗手続きも難なく終わり、12時には東京に着いていた。 モノレールから山手線の乗り換えも慣れたものだった。 新宿駅に着いてから少し時間があったので、久しぶりに中央公園に行ってみた。 それだけ余裕があったわけだ。 東京を離れてかなりの時間がたっていたので、街の風景もかなり変わっていたのだが、戸惑うことはなかった。 やはり土地勘のあるところは違うものだ。 当たり前のことであるが、大阪で感じた地理的な苦手意識はまったくなかった。
その日の宿は、何とそのセンチュリーハイヤットだった。 25階のツインルームを一人で借り切っていた。 もちろんメーカー負担である。 一泊だったのだが、一室3万円ほどかかったと言っていた。 こんなホテルに泊まったことはそれまでもなかったし、これからもおそらくないだろう。 実際、それから3年ほどして再び東京に行ったのだが、その時はお茶の水のカプセルホテルに泊まった。 その時は1週間滞在したが、その料金は3万円ほどだった。
さて、今の会社に入ってからは出張というのがまったくない。 まあ、あっても行きたくはない。 どうせ場所は博多近辺だろうから、当然日帰りだろう。 仮に複数日の出張だったとしても通いになるから、疲れるだけである。 やはりぼくには出張なんて似合わない。 慣れた現場で客のわがままを聞いているのが、変に気を遣わなくていいぶん楽である。。
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