仕事が終わってから家に帰り着くのは、だいたい午後9時頃になる。 さすがにこの時間帯は、街灯やビルや工場の灯りがあるとはいえ、車道以外は暗く感じる。 特に住宅街を人が歩いている場合は、非常に見にくいものだ。
この間帰る途中でのこと、住宅街を運転している時、路肩で白い物が動いているのが見えた。 どうも生き物のようだ。 「犬か?」と思い、少しスピードを緩めて見てみると、思ったとおり小さな犬だった。 その犬の横、歩道の上を人が歩いていた。 飼い主だ。 犬に車道を歩かせ、自分は歩道を歩いていたというわけだ。
ふと考えた。 もしこういう状況で、犬をはねたらどうなるのだろうか。 道交法違反で点数を引かれるのだろうか。 暗い夜道を、それも車道で犬を歩かせているアホな飼い主のおかげで点数を引かれることほど馬鹿らしいことはないだろう。 そういうことは別として、飼い主から「○○ちゃん、○○ちゃん…」などと言って目の前で泣かれ、罵倒され、賠償金を取られるのもシャクである。 そういうことにならないためにも、飼い主は安全な場所で散歩をさせるようにしてもらいたいものである。
それにしても、世の中には「この人は大丈夫か?」と疑問をいだかせるほど、生き物を溺愛する人がいる。 そういう人に限って、人づき合いが下手なように思える。 知り合いに大変な犬好きがいる。 その人のことをよく知らない頃のこと、その人がぼくに愛犬の写真を送ってきた。 別にこちらから送ってくれと言ったわけではなく、あちらが勝手に送りつけてきたのだ。 写真を見ると、その犬も世間一般の溺愛犬と同じように、服を着せられていた。 最初「かわいい犬やね」とお世辞を言ったのが間違いだった。 それで気をよくしたその人は、調子に乗って犬の写真を送ってきた。 こちらとしてはいい迷惑な話だ。 その人が自己中心的な性格で、周りの人とトラブルばかり起こしていると知ったのは、しばらくたってからだった。 相手は犬とはいえ、愛する心を持った人なのだから、もっと周りの人を気遣ってもらいたいものである。
スーパーに行くと、よく「衛生管理上、生き物の持ち込みはお断りしております」という放送がかかっている。 しかし、いるんですねえ、犬を持ち込む大馬鹿者が。 それも、抱えるなり、かごに入れておくのならまだしも、ふつうの散歩のようにひもにつないで歩かせている。 いったいどういう神経をしているのだろう。 おそらく飼い主には、「うちは人間と同じように育てているから、しつけもよく、大変衛生的です」などというような言い分があるのだろうが、しつけがよく、衛生的だと知っているのは、飼い主だけじゃないか。 いくら人間ふうに服を着せていようとも、犬は犬である。 どう見ても衛生的だとは思えない。 だいたいしつけのいい犬だからといって、店の中でおしっこをしないとでも言うのだろうか。 いいにおいがすれば、鼻を近づけてにおってみるのではないだろうか。 そういう無神経なお客は、特に若い人に多い。 お年寄りは、いくら小さなお座敷犬といえども、ちゃんと外につないで待たせているものだ。 英語で犬をしつける暇や、犬の服を作る暇があるのなら、まず飼い主が、世間の常識やマナーを勉強しろ!
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