白ひげで思い出したが、ぼくの行った高校の裏手に花尾山という小高い山がある。 クラブをさぼって、よくその山に登っていたものだ。 卒業後もその山にはちょくちょく登っていたのだが、ある時、山頂付近に切り岩があることに気がついた。 高さ3メートル弱くらいの岩が、何本か重なって立っている。 その周囲に空き缶やゴミがたくさん捨てられていたので、最初はゴミ捨て場に利用しているのかと思った。 しかし、何か感じるものがある。 「何だろう」と思い岩の周りを見てみると、そこに古びた石板がぽつんと置かれてあるのに気がついた。 土やゴミに紛れてわかりにくかったのだが、その石板には何か文字が書いてあった。 何だろうと目を凝らして見てみると、『白髭大明神』と書いている。 ゴミ捨て場だとばかり思っていたその切り岩は、何と白髭大明神のご神体だったのだ。 ということは、その山は霊山だということも考えられる。 そういえば、隣の皿倉山から見た花尾山は、きれいな三角錐をしている。 きれいな三角錐といえば、日本ピラミッドである。 ピラミッドの上には、必ず太陽石があるという。 それが、花尾山でいうところの『白髭大明神』か? 日本のピラミッドというのは、かなり古い時代に造られたものらしい。 もしかしたら後世の人は、その磐座が何を意味するものかわからないままに『白髭大明神』にしてしまったのかもしれない。 しかし、飛鳥時代以前の人々はそのことを記憶していたのではないだろうか。 だからこそ神功皇后は、朝鮮征伐に使う船の帆柱になる木を、わざわざ霊山である花尾山近くの山(帆柱山)に求めたのかもしれない。
ところで、白髭という名前の大明神がいるくらいだから、きっと白ひげは縁起のいいものなんだろう。 そう思うと、白ひげも悪い気がしない。 今日、夕方の番組にマラソンの小出監督が出演していたが、彼も白ひげだった。 Qちゃんの金メダルの原動力は、実は白ひげだったのかもしれない。 そうであれば、白ひげは幸運のシンボルということになる。 本当は白ひげというものは、ありがたいものなのかもしれない。
しかし、白ひげ=幸運説を、ぼくは素直に肯うことは出来ない。 なぜなら、ぼくが小出監督を見る時は、頑固なおっさんというイメージで見てしまうからだ。 もしかしたら、それこそが白ひげ効果なのかもしれない。 そういえば、乃木大将も、『アルプスの少女ハイジ』のオンジも白ひげをたくわえていた。 きっと白ひげと頑固さの間には、何らかの関係があるだろう。 もしかしたら、ぼくも頑固だから、こんなに早く白ひげになったのかもしれない。
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