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2002年07月18日(木) 今年はいつ梅雨明けするんだろう?

  『セミ』

 レコードにスプレーをかけた後で
 夏を感じ始め、すだれに手を伸ばすと
 一匹のセミが鳴きもしないでとまっている
 雲は多く増えていくけど
 ああ、梅雨は昨日で終わったんだね

 君はこのままどこかへ飛んで行くのかい
 今風が吹いて、すだれがブランコのように
 このまま鳴くのかい
 このまま鳴くことも忘れて
 とまっているのかい

 疲れ果てて水の音を聞きながら
 気がついた時には、もうそこの風は飛ばされていて
 セミもいつか逃げていくのがわかる
 今ジェット機は悔やみもせず、大海へ

 つかまえようとしたら逃げてしまう
 かといってジッとさせているのももったいない
 息を吹きかけてみよう
 ああもう眠ってしまったんだね

上の詩を書いたのは、高校2年(昭和49年)の7月20日、終業式の日だった。
その前日に梅雨明けしたのだが、終業式の日は厚い雲が垂れ下がり、今にも降り出しそうな天気だった。

その年の夏休みにはいろいろなことがあった。
夏休みに入ってすぐ、1年の時の担任の先生の引越しの手伝いに行って、無理やりビールを飲まされたことがあった。
体育の先生だったので、固いことは言わなかった。
「いいか、ここだけやけの。飲んだことは黙っとけ」と言いながら、ぼくに何杯もビールを注いだ。
ぼくも調子に乗って何杯もおかわりしたが、ぜんぜん酔わなかった。
代わりに、隣でコーラを飲んでいた同級生が酔ったようだった。
彼はまったくビールを飲んではいないのだが、雰囲気や臭いに酔ったのだろう。
帰りのバスの中で真っ赤な顔をしていた。

それから何日か後に、友人何人かと鹿児島、宮崎に旅行に行った。
行きの汽車で一泊、鹿児島指宿で二泊、宮崎青島で一泊、帰りの汽車で一泊、五泊六日の旅行だった。
汽車の中以外は、すべてキャンプだった。
天候にも恵まれ、いい旅行が出来た。
ただ一点、嫌なことがあった。
鹿児島から宮崎に向かう汽車の中で、友人がチンピラ風の男に絡まれたのだ。
友人が弁当を食べていると、その男がやってきて、「なーに、チラチラ見てんだよう」と凄んだ。
状況がつかめない友人は、「あっ?」とか「えっ?」とか言っていた。
時折そのやりとりが聞こえてくる。
「お前、どこから来たんだ?」
「北九州やけど」
「北九州と思って威張んなよ。おれは埼玉から来たんだ!」
それを聞いて、ぼくは噴出しそうになった。
だからどうした、である。
何が言いたいんだろう。
確かに不良たちの間では、北九州はガラが悪い、で通っているらしい。
しかし、それはあくまでも彼らの中のイメージである。
ぼくたちは、別に北九州から来たといって威張るようなことはしない。
友人はただ単に出身地を答えたまでである。
逆にチンピラ風のほうが、埼玉出身を威張りたかったのではないだろうか。
それにしてもくだらん言いがかりである。
この一件でその旅行の楽しさが半減したのかというと、そうではなかった。
宮崎に着いた時に偶然見たスポーツ新聞に救われた。
その新聞の占い欄に「負けるが勝ち」と書いてあったのだ。
それを見てまた楽しくなった。

そんなことがあったので、夏休みの前半はほとんど家にいなかった。
しかし、それは後半にしても同じことだった。
高校1年の同級会や、中学の同窓会などがあった。
ぼくにとっては、小中高を通して一番思い出深い夏休みになった。

そういえば、昨年の梅雨明けも19日だった。
さして楽しい夏でもなかったなあ。
今年はいつ梅雨明けするんだろう?
ここにきて、雨の日が多くなった。


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