スナックおのれ
毛。



 オシャレ雑誌の術中において。

 クーネルというスローライフ系のオシャレ雑誌がある。オシャレ雑誌を疎む私ではあるけれど、どうもこの隔月の薄い雑誌を買ってしまう傾向にある。
 ぺらぺらとめくりながら、どこかのばあさんが作った手製のおにぎりを目にする。帰京した際によく目にするばあさんの料理。なんにも珍しいことなないんだけれど、こういうふうに書かれているとなんとすばらしいものに見えるものか。ふとばあさんちの汚い台所がうかぶ。ところどころ、崩れた床、食器棚に並ぶたくさんの埃をかぶった流行遅れのグラスのたぐい。きっとうまくすれば、この雑誌にあるようにきれいにみえるにちがいない。だまされちゃいかん。そう思いながら、さらにページをめくる。すると、色々様々な人々のスローな暮らしが紹介され、最後のページになる。
 そこは、毎回、小説家がエッセイを綴るページになっている。私はこのページが結構好きで、気になる特集を読んだ後に、このページを読む傾向にある気がする。今回の担当は、堀江敏幸。散文小説家。長い長い一文にキラリとする一節を書いて、ドキリとさせる人。エッセイの内容が、夢の中で読んだ雑誌の話、という設定が、またこの人らしい。なにげなく読み始めて、いつの間にか、じっくり読んでいて、すっきりと読み終わった。なかなか素敵なエッセイ。トクした気分。次のエッセイは誰が書くのかな?そんな楽しみを残す。
 そこで、あっと思った。オシャレ雑誌を疎む私。すっかり、その術中にはまっているらしい。

2004年07月27日(火)
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