斷わりの言葉をうまく口に出せなくていつもより多くアルコールを攝取して今夜は歸宅しました。
　少し醉つた状態で鏡に映る自分の顏を目にしてしまひました。

　思ひ返してしまふのは誰かの死に顏と、自らの後悔。
　ごめんなさい。
　ごめんなさい。
　本當にごめんなさい。

　あの時、あなたが居なくなつてしまつたら如何していいのか、考へる力を失つてゐたのです。
　あなたが苦しむ事は分かつてゐたけれど、あなたを苦しめぬ事よりも、一秒でも長くあなたが存在してくれる事の方が、自分にとつて重要だと思つてしまつてゐたのです。
　膠着してしまつた人間關係と屈折してしまつた身近な人の感情を、是以上惡化させぬ爲にはあなたが生き續けるしかぬのだと思ひ込んでゐたのです。