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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■道路公団の談合問題を機に徹底調査したら1万人くらいはタイーホされるぞ
道路公団の談合問題をニュースで見ていて思う。
根本的な問題の解決がなされない限り、談合は永久に終わらないだろう。
政府や公共団体の談合問題を徹底調査したら、1万人くらいはタイーホされるぞ、と。

談合が起こってしまう理由は簡単だ。
道路公団が入札の際に価格しか評価しないからである。
価格以外の価値を評価せず、ただ入札価格のみを判断基準として落札を行うからだ。

付加価値を一切無視して価格のみで評価するのであれば、応札する側の企業としては、いかにして入札価格を下げずに済むようにするかの工作をするしかない。
採算割れまでして入札したくはない。
だけど、落札したい。
と、すると談合するなり何なりして、何とか入札価格が下がらないように工作したい、と考えるのは当然の行為だ。

価格しか評価しない、というのはどこの企業が落札しても提供される製品なりサービスが全く同一、という前提に立っている。
そこでは製品やサーヒスの質は問われない。

以前はコンピュータ業界で、1円入札が問題になっていた。
さすがに1円入札はなくなったけれど、100万円入札は生きている。
コストで数億かかろうと100万円で入札されるようなことは未だに健在。
数億円のコストに対して、1円で入札したらニュースになるけれど、100万円だったら問題なし。
100万円が問題だったら101万円で入札するぞ、と。

政府や公団系の調達情報は公開されているので、チェックしてみると面白い。
あり得ない金額で落札されている例はいくらでもある。
公正取引委員会の怠慢か何かで、問題視されていないだけで、不正金額による明らかな不正入札はいくらでも見つけることができる。
公正取引委員会と公的機関がなあなあでやっていて、いくらなんでもやり過ぎ、という際にだけ指導が入っているだけ。

僕は以前コンピュータ業界にいたので、そのやり口を書く。
まず、コンピュータ業界が1円入札のような極端な原価割れで入札するのは、要件定義フェイズである。
ボッタくるは、そのあとの開発、保守、運用、横展開。
開発を1円で受託している場合は、その後のフェイズ、保守、運用、横展開を見込んでいる場合である。

ボッタくりの手段には知的所有権や機密保持契約が使われる事が多い。
最初のフェイズで知的所有権を応札企業が留保する。
すると、次のフェイズで他の企業が応札しようにも、知的所有権を最初のフェイズを請け負った企業が留保しているので、応札できない。
機密保持契約を交わしていれば更に有利。
要件定義の情報が他社に開示できない。
要件定義書の知的所有権は自社と共有だし、機密保持契約があるので、他社には開示できませんよ。
開発、保守、運用、横展開でボッタくれる。
「握り」とか「紳士協定」ではなく、ちゃんとした契約書に基づいて後でボッタくるように仕込んでいる。

と、いうことで最初の要件定義を採算割れの1円や100万円で応札していても、次のフェイズで確実にボッタくれる。
政府、公共機関もアホではない。
それを理解したうえでの確信犯である。

政府なり公団は価格でしか評価しないので、このような事態が起きる。
これではいくら何でもおかしい、ということで、実際には総合評価方式、という価格だけではなく、価値も評価する方式をとるようにはなりつつある。
だが、その場合も価格点が大半を占めるので、提案内容がクソだろうと提示価格が安ければ落札できる。
最初に安く落札してしまえば、あとはこっちのものなので、応札する企業は公正取引委員会から目をつけられないギリギリの価格で応札する。
コスト割れは当然の行為で、公正取引委員会を怒らせない程度のギリギリの価格で入札する。

それはさすがにマズいので、予定入札価格、というものもある。
極端な安値入札を排除するためである。
予定入札価格を極端に割り込んだ入札は無効とする。
が、それはそれで、民間企業は予定入札価格情報をあの手この手で入手する(どうして民間企業が天下りの役人を受け入れるのかを考えてみればわかるでしょ)。

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08月03日(水)
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