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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■金策に悩むプロジェクトマネージャー
コンサルティングファームは、プロジェクト単位の独立採算制である。
プロジェクトはひとつの会社とほぼ同じ。
提案書を書き、見積書を出してお金の交渉をして、契約書を作って契約内容を協議して、メンバーを社内から調達し、プロジェクトを進め、マネジメントし、成果物を提出し、請求書を出す。
この一連の流れを僕がやる。
クライアントから入金確認がなされて、プロジェクトは完了。
コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーは、何でも屋なのである。
提案書を自分ひとりで書くことができない場合、スタッフを社内からお金で雇う必要がある。
提案書の段階では、クライアントからお金を貰っているわけではないので、会社から借金をする。
お金を借りて、スタッフを雇う。
借金なので、後で返さなくてはならない。
失注したら、借金は返せないので、ごめんなさい。
会議室の利用や文房具類、バックオフィスのサポートにもそれぞれプロジェクトからの支払いが必要である。
P/L上、コンサルタントのプロジェクトでは人件費も経費も原価扱いになる。
SG&A(販売費および一般管理費) ではない。
クライアントからフィーをもらって商品であるコンサルタントがサービスを提供し、そのために必要な経費なので、会計上は、原価扱いなのである。
独立採算制の企業形態のなかで、仕事をしていると中小零細企業の経営者の気持ちが良くわかる。
僕の頭のなかの半分以上は、コンサルティングの内容ではなく、金策である。
自分のプロジェクトの金策をひたすら心配している。
プロジェクトの開始が契約の遅れなどによりズレこんだりすると、たちまち資金がショートする。
スタッフの確保を既に行なっているので、作業が発生しなくとも、人の確保をしている時点でスタッフへの給与支払いの義務が生じる。
追加融資を受けなくてはならない。
これまた借金なので、プロジェクト内で返さなくてはならない。
プロジェクトの予算を圧迫する。
プロジェクトが当初の見積もりの範囲を超えてオーバーランしたりしたら、目も当てられない。
僕は赤字プロジェクトになったことは一度もないのだけれど、オーバーランしたプロジェクトのプロジェクトマネージャーは相当にきついだろうな、と思う。
クライアントからも社内からも突き上げられる。
予算のオーバーランが小さい間は、スタッフに過剰労働を強いてしのごうとするだろうから、スタッフからも突き上げられているはずである。
クライアントや社内にオーバーランの事実を申告するのは、もはやプロジェクトマネージャーだけでは、対処不可能な状況に陥っていると思われるので、そのプロジェクトチームの士気はかなり下がっているだろう。
プロジェクトマネージャー自身がプロジェクトの見積もりと設計をしたのであれば、プロジェクトマネージャーの責任だ。
だが、甘い見積もりと設計を他の人間が行なっていて、プロジェクトの遂行だけをプロジェクトマネージャーが行なっている場合、プロジェクトマネージャーは災難だ。
僕の場合、基本的に設計、見積もりは自分で行なうのだけれど、たまには他人が設計、見積もりを行なったプロジェクトのマネジメントを行なう場合もある。
そして、そのような場合、おいっ、この予算でやれって言うの?という場合も多い。
クライアントとの交渉余地があるのであれば、再交渉を行なったうえで、引き受ける。
それが不可能なのであれば、僕は仕事を断る。
着手前から破綻することがわかっているプロジェクトのマネジメントを引き受けるほどの忠誠心や犠牲心はない。
デフレの影響か、不況の影響か、コンサルタントの価値低下のせいか、最近はクライアントから見積もりに対する値引き圧力が強くなった。
ちょっとした値引き程度なら対処できるのだけれど、いきなり、半額にしてくれ的な要求も珍しくない。
先日は、半額のうえに、消費税分の値引きまで迫られた。
コンサルティングの見積もりは人件費がほぼ全てなので、半額にしてくれ、ということは半分のメンバーでやれ、という要求である。
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05月28日(土)
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