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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■サイボーグ妄想
僕は、「ほとんどサイボーグですね」と言われる事が多い。
僕は、眠らず、疲れを見せないので、サイボーグ扱いされる。
僕は、眠らないし、疲れない。
正しくは、眠気や疲れを感じる神経がぶっ壊れている。
眠気も疲れも感じる事ができないのだけれど、実際の身体は、疲弊している。
ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンが出る弁が壊れているのか?

今から1年前、僕は精神的には何らの異常も感じていなかったのだけれど、自律神経の異常により、マトモな歩行すら困難になり、あげくの果てに通常の歩行時に転倒し骨折する、という状態にいた。
僕の精神は、慢性的なナチュラルハイの状態にあり、睡眠時間は3時間だった。
複数の重要な案件を同時並行させ、週末も休まずに働いていた。
座っている限りにおいて、僕には異常は認められなかった。
重要な会議の発言においても、チームへの指示のしかたにおいても、異常はない。
だけど、立てない、歩けない。
脳は異常を認知できないのだけれど、身体が思うように動かなかった。
時間とともに、手も自由に動かせなくなり、パソコンですらマトモに操作できなくなっていった。
首から下が自分の意志通りに動かない。

戦闘状態のジャングルのような、極限状況に長期的に置かれている兵士に起き易い症状らしい。
脳は、極度の危機的状況に置かれると、防御反応としてドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンを分泌し、闘争か逃避かの態勢に入る。
本来押さえ込まれていた自分の潜在能力のリミッタ−をカットし、力を開放する。
火事場の馬鹿力、というやつだ。
だが、火事場の馬鹿力が日常的になってしまったならば、身体は自壊する。
人間が日常的には、本来の力を出し切っていないのは、自壊しないための防御機能だ。
僕は、その防御機能が壊れていた。
リミッタ−がカットされている。
リミッタ−をカットした状態で、生活を続ければ、当然ながら身体は壊れる。
クルマのエンジンのオーバーブローと同じ。
僕は、脳は正常に機能しつづけていたが、リミッタ−をカットされた脳と、ノーマル仕様の身体のバランスは取れていなかった。
身体の限界を脳が上回り、過負荷に陥った身体は、脳の指令を処理できなくなっていた。

多くの人はストレスがかかりつづけると、うつになる。
防御反応として自閉の方向に向かう。
僕の場合は、全く逆にストレスに対し、脳が開放に向かった。
ストレスに対する逆ギレである。
ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンの過剰分泌、日常的な過剰分泌の連続により、脳が開放された。
そして、それが常態化し、身体が脳についてこれなくなった。
本来備わっている防御機能がはずれているのだから、身体は壊れる。

当初、医師は、極端な睡眠不足と過労による自律神経失調であると診断した。
だが、治療を続けていくうちに、睡眠不足や過労が原因ではないことが明らかになっていった。
僕の脳は異常活性しており、身体能力の限界値を脳が超えていた。

今、僕は、薬物投与により、人間としての正常な生活を送っている。
薬物により、脳にリミッタ−をかけ、身体に過負荷がかからないようにしている。
薬物を使わなくてはまともな生活を送れない僕は、事実上のサイボーグだろう。

人間の大脳は、必要以上に強力だ。
CPUである大脳は、人間の身体のその他のシステムに対して、生きることに対して、必要以上の処理能力を持っている。
僕は、大脳の処理能力に対しては不満はない。
ボトルネックになるのは、身体であり、自律神経である。

ヒトの大脳の処理機能は、身体機能に対してオーバースペックである。
ただでさえオーバースペックである大脳は、ネットによる他者との意識の共有化、外部記憶の並列化により、かつての人類を未体験ゾーンへと誘う。
でも、僕の身体は一万年前から進化していない。
強すぎる大脳と身体の乖離は広がる一方だ。

僕は、眠けも疲れも感じない。
それは、病気であり、医療機関による治療も受けている。
でもそれは、僕だけに起こった現象ではない、と思う。

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04月29日(金)
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