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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■知りすぎると却って買えないインサイダー株
僕が購読している株式投資関連のメールマガジンに「100万ドルとインサイダー情報があったら、数年で破産する」というバフェットの言葉が載っていた。
確かにそうだ、と思う。
僕は現在、株式投資には消極的なのだけれど、そこそこの株式を保有している。
面倒なのでほとんどチェックすらしていないのだけれど、株を売り飛ばせば、新車のフェラーリが買える。

以下、そのメルマガに出ていた記事を引用する


■インサイダー情報で株売買する危険性

@情報がもし本当だとして、事前にそうした重大な情報が漏れてくる会社はロクでもない会社です。ロクでもない会社なので、真剣に株を買う対象にはなりません。また、ロクでもない会社の場合には仕手筋のターゲットにされることが多いので、下手な空売りも危険です。ポジティブなインサイダー情報であれ、ネガティブなインサイダー情報であれ、それで売り買いするのは危険です。
A情報はウソであることが多いです。いかにも本当そうに流されてきた情報でも、裏で流れている情報にはウソも多いです。
B情報がもし本当だとしても、情報が漏れたことでその話そのものがダメになってしまうことがあります。
Cもしその話が買い材料となるようなインサイダー情報だとした場合、自分の耳に入る前に既に多くの人が耳にして株が買われて株価が高くなっており、実際に情報が正式発表された後には株価が下落していく、というケースも多いです。


僕は戦略コンサルタントという仕事柄、インサイダー情報には事欠かない。
大企業の戦略そのものを作っているので、企業の実態、将来の戦略、業績の予測までが事細かにわかる。
M&Aに関しても、企業買収用のショッピングリストの作成を行ったり、企業の値踏みまで行うので、事前にかなり細かい情報を入手可能である。
そして、上記のメルマガの引用にるあような漏洩した情報でもウソの情報でもない。
僕が得るインサイダー情報は、本物であり、厳重に管理されているものである。

だが、僕は一度たりともインサイダー取引を行ったことはない。
これからもやらない。
インサイダー取引を行わない理由は、モラルからではない。
職務上、インサイダー取引は厳しく制限されているけれど、職務上の制限を持ち出すまでもなく、僕はインサイダー取引を行わない。

理由は2つある。
@企業の実情(暗部)が目について株を買う気がなくなる
A株式市場の実際の株価と企業実体の乖離から理論株価の正当性が説明しきれなくなる

@企業の実情(暗部)が目について株を買う気がなくなる
コンサルタントの職業病である。。
コンサルタントは企業の病気を治す医者みたいな職業なので、どうしても病気の部分に目がいきがちである。
企業の病気の治療を行おうとするのだけれど、その際には、いくつもの壁にブチ当たる。
企業の病気治療がすんなりと進む事はまずない。
企業の改革は簡単ではない。
遅々として進まない。
そうすると、どうしても自分のクライアント企業がダメ企業に見えてくる。
優良企業を担当していても、優良企業のダメな部分、病気の部分を直すために雇われているので、悪い部分が目についてしまい、結果的に株を買いたいとは思わなくなってしまう。

A株式市場の実際の株価と企業実体の乖離から理論株価の正当性が説明しきれなくなる
企業価値評価、という仕事がある。
企業業績の予測や市場動向、保有資産から企業に値段をつける作業であり、企業の合併比率を算出する際やM&Aで企業買収を行う際に行う。
本来、企業の価値は株式市場における株式時価総額と一致するはずなのだけれど、現実にはそうはいかない。
往々にしてズレがある。
長期的な株式市場では、「神の見えざる手」により、企業価値は恐るべき正確さで評価されるのだけれど、短期的な市場ではブレが出る。
株価は純粋な企業価値だけではなく、需給や仕手筋、市場の思惑などの要素が複雑に絡み合う。
理論的に計算しきれないことはないけれど、株式市場は生き物であって常に変動しているので、現実には計算しきれない。

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10月29日(金)
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