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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■日本の家電メーカーの生きる道@
最近強く感じるのは、コンピュータメーカーと家電メーカーの「技術力」の逆転現象である。
一般的なイメージで考えるとコンピュータメーカーのほうが「技術力」が上で、家電メーカーの「技術力」は弱いように見える。
だが、今や「ハードウエアの技術力」に限って言えば家電メーカーのほうがずっと高度だ。
家電製品はデジタル家電化により、家電製品のハイテク化、複雑化は進む一方である。
それに対し、コンピュータはインテルのCPUとマイクロソフトのOSにより、心臓部はブラックボックスと化している。
最近の家電製品はハイテクの塊である。
携帯電話しかり、DVDレコーダーしかり。
どのようなとんでもない使い方するかわかったものではないコンシューマーが、めちゃくちゃな使い方をしてもほとんどバグがない。
DoCoMoの505iシリーズはほとんどの製品からバグが発見されたが、コンピュータ業界から見れば、あんなものはバグのうちに入らない。
僕はよくもあそこまで完成度を高めたな、と感心することがあっても、非難する気にはならない。
それに対し、コンピュータ、特にパソコンは単なる組み立て型の製品である。
主要部品はインテルのCPUとマイクロソフトのOS。
そして、サードパーティー製のグラフィックカード。
メーカー純正の部品は筐体のロゴくらいのものだ。
サーバーのようなパソコン以外のハードウエアもインテル化とLinux化が進行中である。
コンピュータメーカーの製品開発の仕事といえば「製品企画」であって「製品開発」ではない。
パッケージング力が製品開発力である。
企画力の優れているコンピュータメーカーが良いメーカーであって、ハードウエア技術が優れているメーカーが良いメーカーというわけではない。
ハードウエア以外の領域においても、コンピュータメーカーの脱メーカー化の進行は進んでいる。
システム開発の現場で、いわゆるコードを書くことは少ない。
ロクにコードを書けないSEなど、いくらでもいる。
きちんとしたコードを書けるSEのほうが少数派だ。
ERPの導入などはシステム開発ではなく、パラメータ設定である。
技術屋としてのエンジニアではない。
ビジネス要件をシステムに落とし込む事が主たる業務である。
コンピュータメーカーは既にハードウエア屋ではなく、サービス企業である。
いわゆるハードウエア技術屋的な職人は少数派だ。
コンピュータのアプリケーション開発ではOSやミドルウエア、アプリケーションを介してハードウエアとのコミュニケーションを行なう。
家電の開発ではハードウエアを直接がしがし叩く。
マイクロコードをごりごりと書く。
必要に応じて専用のカスタムチップを作る。
いつの間にやら、家電メーカーはハイテク産業となり、コンピュータメーカーはサービス産業になった。
コンピュータの世界で技術要素の全てを米国に持っていかれてしまった日本ではその傾向が特に顕著である。
コンピュータメーカーがサービス産業化し、家電メーカーがハイテク産業化しつつあることは間違いない。
ただし、このコンピュータメーカーのサービス産業化は凋落ではない。
業態としてみれば進化である。
今後、日本の家電メーカーもいずれはこのサービス産業化に飲み込まれる。
(長いので明日につづく)
07月22日(火)
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