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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■コンサルティングファームの謎 Kコンサルティングファームはどこへ向かうのか
全てのコンサルティングファームは「戦略から実行まで」を掲げている。
実際に戦略から実行までを本当にサポートできるケイパビリティーを持ったコンサルティングファームなど皆無に近いが、少なくとも目指す方向は「戦略から実行まで」である。

ここで言う「実行」とはシステム開発のことを指していると考えてよい。
戦略主体のコンサルティングファームはシステム開発を強化したいと考えるし、システム開発主体のコンサルティングファームは戦略を強化しようとする。

少なくとも、つい最近までのコンサルティングファームの目標は「戦略から実行まで」の一括請け負いであった。
一括請け負いによる囲い込みビジネスである。
一括請け負いビジネスはうまみが多い。

だが、今は「戦略から実行」に加えて「実現」である。
クライアントの目標が実現されるまで、面倒を見させていただきますよ、運命共同体ですよ、一蓮托生ですよ、と言ったところだ。

ネットバブルの際には株式による報酬受け取り型のコンサルティングが流行した。
コンサルティングファームのフィーを支払えるほどの規模ではない、草創期のベンチャー企業に対して、フィーではなく株式で報酬を受け取るようなビジネスである。
ベンチャー企業が成功することにより、株式公開することを前提に現金に代わって株式でフィーを受け取った。
もちろん、このビジネスモデルはネットバブルの崩壊により消え去った。

そして、現在のコンサルティング業界の流行はアウトソーシングビジネスである。
「お任せください、成功するまで全て面倒見ます」という完全成功請け負いビジネスである。
このアウトソーシングの概念は通常イメージするアウトソーシングとは別物であると考えたほうが良い。
長期のコンサルティング契約みたいなものだと考えたほうがわかり易い。

アウトソーシングとして企業の特定部門の業務を数年間に渡って請け負う。
数年かけて継続的に業務改善を行う。
決められた契約金額のなかで業務改善を行いコストを削減する。
そして今度はそのコスト削減によって得られた原資をもとに、更なる業務改善に再投資する。
また業務改善により原資が得られれば、更に次の業務改善に再投資をする。
これを数年間に渡って繰り返す。
数年後には劇的に業務が改善されているでしょ、というビジネスモデルだ。

コンサルティングファームにとってのアウトソーシングビジネスとは、すなわち長期的なコンサルティング契約である。
コンサルティングファームにとってはアウトソーシング契約によって長期的に安定した収益が得られる。

コンサルティングファームはビジネスモデルを変革すべく、様々な挑戦を重ねてきた。
人月によるフィービジネスのモデルでは成長に限界があるからである。
コンサルティングファームは、もはやコンサルティングファームではないのだ。
03月23日(日)
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