ID:99799
斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■少しずつ経済に明るい兆しが見えてきた(ような気がしないでもない)
各企業の12月決算の結果が少しずつ出てきた。

9月決算の時、僕はX字回復なんてインチキだ、と書いた。
http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/day?id=99799&pg=20021112

以前書いた内容は、X字回復は前年度にワザとリストラ費用を計上して巨額の赤字を計上し、今期はその分の赤字がなくなったため、一見X字回復に見えているだけ。
現に営業利益が出ていないではないか。
キャッシュを生み出す体質に変化せず、単に名目上の赤字を減らしただけなのだから、こんなものはX字回復とは言えない。
と、まあこんな感じのことを書いた。

今回の12月決算の状況は明らかに9月決算と状況が異なる(ような気がする)。
すべての企業が回復基調とは言えないけれど、部分的に回復基調の企業が出始めている。
リストラで赤字を減らしただけではなく、キャッシュを生み出す原動力となる営業利益そのものが増えた企業がいくつか出てきた。
ようやく、リストラによるコスト減(↓)から収益増(↑)の方向に企業業績が向かい始めた。
ごく一部の企業だけど。

僕は仕事柄、いくつもの企業の内情を見ている。
どの企業も外部から見る限り一様に、巨額の赤字の計上と苛烈なリストラを行なっているのだけれど「企業文化」というべきか芸風というべきか、各企業の内情は随分と異なる。
各企業の内情は様々である。

大きな違いは「自己否定できたかどうか」だったと思う。
現状の業績悪化の原因はどこにあるのか?
マーケットの冷え込みによるものなのか、自分たちの企業の構造、ビジネスのやり方に問題があるのか?
全ての企業の業績が悪いわけではなく、少数でも好業績の企業が存在するのであれば、自分たちの企業の構造、ビジネスのやり方に問題があるのは明らかだ。
景気のせいにしてはいけない。
景気が悪いなら悪いなりにビジネスのやり方がある。
だって、不景気でも儲かっている企業はあるのだから。

企業の経営者が決算発表の席で、業績悪化の理由としてマーケット冷え込みの話ばかりをしているのを見ると、無性に腹が立つ。
マーケットの業況や景気の良し悪しだけで、業績が変動するのであれば、経営者などいらない。
好景気であれば業績が上がったのに、などというのは経営者として失格だ。

自分たちの企業の構造、ビジネスのやり方に問題がある、と判断した企業は構造改革を行なった。
それに対して、悪いのは自分たちではなくマーケットの冷え込みが問題だ、と判断した企業は人切りと工場の閉鎖ばかりを行なった。
即効性はあるが、収益性の回復にはちっとも効かないその場しのぎのコストカットに終始した。

今期、X字回復を果たしたA社は近年、徹底的な自信喪失状態にあった。
社内のムードもかなり暗かった。
「俺たちのやっていることは全然駄目だ」と完全自己否定。
A社は伝統的な日本企業で日本型経営の見本のような企業だったのだけれど、自分たちの「企業文化」そのものにも自信を喪失していた。

彼らは過去の成功体験を否定することから始めた。
彼らは、自分たちの「企業文化」がもはや今の時代には合致していないことに気づいていた。
自分たちの伝統的な「企業文化」を尊重しようとするあまり、変革はタブーだったのだ。

彼らは自分たちの伝統を徹底的に破壊しはじめた。
伝統を守っていられないほど、追い詰められていたのだ。
伝統を破壊する決心を固めた彼らの動きは凄まじかった。
確かに僕の目からみても彼らの伝統に固執し過ぎる企業文化に根本的な問題があるのかは明らかだった。
だけど、そこまでやるか、という徹底した破壊ぶりだった。
そばで見ていても、ハラハラした。

でもそれは性急だったけれど、正しいリストラだった。
構造改革、リストラクチャリングというコトバに忠実な正しい意味でのリストラ。
コスト削減に終始せず、収益を生み出すための構造に徹底的に変革しようとしていた。
彼らはの変革はまだ道半ばだけれど、ここまで覚悟を決めた以上、徹底的に変革を進めて欲しい。
ここまで自分たちを否定できたのだから、収益回復は間近(だといいですね)。


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02月20日(木)
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