ID:99799
斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
[1220765hit]
■非戦、非競争主義 その2
僕は、学年に見合った授業や宿題は僕の好奇心を満たせなくなっていた。
担任の教師は、新しいゲームソフトを与えるように僕に特別の宿題を出した。
僕は2学年うえの宿題を与えられ、休日には担任の教師から特別授業を受けた。
遊び、としてお勉強に熱中する僕は、面白い実験材料だったのだろう。
教師である僕の父にとっても、担任の教師にとっても、僕が遊びと同じ感覚でお勉強に熱中す姿は興味深いものだっただろう。
僕にとっての特別の授業や宿題は、新しいゲームソフトを与えられている事と同義だった。
僕はお勉強マニアだったのである。
純粋に算数の文章問題を解く事、実験をともなう理科のお勉強が楽しかった。
遊びとお勉強が同義だった。
僕は特別に扱われる事になった。
そこには戦いも競争もない。
ただ、お勉強がおもしろかったから、遊びとしてお勉強をしていた。
学校で、僕がお勉強ができる子供として扱われる事、同級生に対して比較にならない才能、というような他者を意識したり、相対的な価値観はなかった。
面白いからお勉強をする。
簡単なお勉強ではつまらないし、飽きてくるので、難易度を上げてもらう。
算数のドリルなんかは、ただの作業に過ぎなかったので、面白くもなんともない。
面白くするためには、タイムアタックでドリルを何分で完了するか、が遊びになっていた。
タイムアタックだけではすぐに飽きてきたので、難易度を上げるために2学年上のお勉強をしていた。
子供の頃の僕にとっては、同級生との相対的な比較は興味がなかった。
何なんだこの子は?
競争原理はなかった。
たまたま成績も良かった、に過ぎなかった。
僕は他者との競争を意識することがなかったし、何らかの目標があったわけではなかった。
田舎で育った僕にとって、有名私立中学に通うことは事実上不可能だった。
私立中学には自宅からは通えない。
ただただ、遊びとしてお勉強をしていた。
中学に進学したら興味はお勉強ではなくなっていった。
僕は音楽に傾倒していった。
毎日ギターを弾く事に全てのエネルギーを注ぎ込み始めた。
僕は、お勉強に興味を失い、あっという間に、学業的には普通の子、になっていった。
中学生以降、マトモにお勉強をしたことがない。
事実上の小卒、と僕が自称する理由である。
グレたわけではない。
好奇心が音楽に向かい、お勉強に対する興味がなくなったからだった。
僕は、興味のあることには全精力を注ぎ込むのだけれど、興味のないことには、何もしない。
あっという間に僕の学業成績は普通の子供になっていった。
相対評価に興味ないので、自分の成績が下がっていく事には何の興味もなかった。
もともと非戦、非競争の僕にとって、成績ランキングがどんどんと下がろうと、どうでも良かった。
絶対評価でしかない音楽のほうが楽しかった。
音楽は、ある程度の最低レベルを達してしまえば、あとは感性や趣味の世界である。
好きか嫌いか、合うか合わないかの世界。
音楽の優劣は相対的ではなく、絶対的である。
就職するまで、僕は非戦、非競争のまま育った。
就職して十数年が経ち、ようやく戦争、競争の真っ只中にいることに気付かされた。
身体が人間の、生物の限界にまで達していることに気付かされた。
ぶっ倒れて、仕事をストップさせて、ようやく自分の非戦、非競争主義を思い出した。
僕は二度とハードワーカーにはならない。
僕は、非戦、非競争主義者だ。
立って半畳、寝て一畳。
多くは望まない。
清貧でいい。
相対的に勝つことには、既に興味がない。
地味に生きていければ、と思う。
07月17日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る