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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■グローバルマーケットと日本マーケットの乖離 〜デジタル家電編
日本の家電メーカーは、そこでコンピュータ業界と同じく、製品からサービスへの転換、とか何とか言って、家電製品をネットに接続させ、月額料金を取ってサービスを展開させようと、頑張っている。
ハードウエア単体では付加価値が出せないので、「ソリューションだ!」。
ハードウエアはそのままで、ソフトウエアのバージョンアップで対応できるようにして、製品ライフサイクルの短期化に対応だっ!
だが、まだ成功事例はない。
Aマイクロソフト帝国からの離脱
PCの世界の覇者がマイクロソフトであることは誰も疑わないだろう。
そして、PCの世界で、オフィスを制覇したマイクロソフトの次のターゲットは当然ながら、リビングルームである。
本来、リビングルームは家電メーカーの縄張りだった。
そこにマイクロソフトがやってくる。
家電メーカーは自社がイニシアティブを取れなくなる。
そして、家電メーカーはマイクロソフトのガイドラインに従って、製品を製造するだけで何の付加価値も出せなくなる。
水平統合も垂直統合も不可能。
日本の家電メーカーはただの部品屋、組み立て屋になることを恐れている。
よって、立場は「反マイクロソフト」で一致している。
デジタル家電のOSはトロンかLinux。
米国では、有力なデジタル家電メーカーは存在しないため、マイクロソフト/PCがリビングの中心になると思われる。
だが、日本の家電メーカーは、そこは譲れない。
ガワはPCと何ら変わりなくとも、敢えてPCとは逆の方向に向かわざるを得ない。
本当は、PCそのものなんだけど「PCじゃないよ」、と言い張る。
PCとは異なる家電製品でしか使えない規格を考え、PCとは接続できないようにする。
BDRM(Digital Rights Management )による囲い込み
水平統合モデルとして、唯一家電メーカーが希望を持っているのがDRM。
著作権の保護管理技術。
デジタルコンテンツを扱う際、自社のDRM規格に合致したコンテンツしか扱えないよう囲い込む作戦。
現在の戦闘は、アップル、マイクロソフト、日本の家電メーカー連合の3つ。
この三者での勝利者は現時点ではアップル。
ソニーが主導してきたATRACの惨状を見ればわかる通り、日本の家電メーカー連合は問題外。
著作権保護は強固にすればするほど、ユーザーにとっての使い勝手が悪くなる。
著作権者(正確には著作権保護団体)としては、保護をできる限り強化し、漏れなく「みかじめ料」を徴収したい。
ユーザーとしては、DRMでガチガチに固められたファイルは面倒なので、できる限りDRMは緩くして欲しい。
でも、なぜだか日本の家電メーカーは、このDRM制覇こそがバリューチェーンの水平統合制覇のカギ、と認識したようで、ガチガチのDRMで固め、ユーザーにとっては不便極まりない、というか完全無視、の戦略を取ってきた。
結果が、ゆるめの著作権保護機能で勝負をかけてきたアップルの独走。
そして、この三者に加えてもうひとつの巨大勢力。
それは、DRM完全無視のPCネットユーザー。
勢力としては最も強力。
PCユーザーは著作権保護など、気にしない。
プロテクトをかけても、速攻で解除する。
日本の家電メーカーとしては、何とかここだけは押さえたかった。
でも、現実は・・・。
と、デジタル家電業界の戦いの構図は、「家電連合(日本)」 VS 「PC連合(米国)」なのである。
日本の家電メーカーは何とか、コンピュータ業界と同じ事業構造にならないよう、コンピュータ業界に自分たちの築いてきた事業を破壊されたくない、と頑張っている。
だが、ハードウエア、ソフトウエアは、家電もPCも既に同じ。
差異はない。
専用機か汎用機くらいの差でしかない。
無駄な争いのような気がする。
02月06日(日)
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