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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■たった一人、ヘイトスピーチ対策の意見書に大反対!
次世代の党はただいま上程されました、委員会提出議案第5号議案「ヘイトスピーチ対策について法整備を求める意見書」につき、絶対反対!大反対する立場から討論を行います。
本意見書は陳情27第32号採択の結果、意見書を提出するものであり、当該陳情の提出者は在日本大韓民国民団東京大田支部、すなわち在日韓国人または韓国系日本人の方々の団体であります。そして、陳情の趣旨は、人種差別、民族差別を煽るヘイトスピーチを法律で規制できるよう政府及び国会に意見書を提出せよ、というものでありました。
憎悪表現、所謂ヘイトスピーチについての法規制の必要性については、ヘイトスピーチが憲法上保護されるべき「表現の自由」の域を超えた人権侵害であるから必要である、とする意見がある反面「表現の自由」に基づく正当な言論活動までもが規制される危険性から法規制はすべきではなく現行法で対処すべきであるという意見がそれぞれ出されています。
法理を無視した、国民の一般的な同情論、感情論であれば、今回所管委員会所属区議諸君が賛成したような結果になるでしょう。しかし、本件は、そんな簡単な問題ですませてはならないのであります。
インターネットにおいて検索をすると、ヘイトスピーチ規制についての警鐘が多くの学者から出されています。
憲法学者であり、自民党推薦で憲法調査会で「違憲」と述べた長谷部恭男氏は、特定の民族や社会階層等に関する差別的言論への規制について、言論内容の外延を規定することの困難、従属的地位にあるとされる人々の表現活動が直接に抑圧されるわけではないこと、従属性の固定化という観念が不明確であること、差別的言論の範囲が拡大しかねない懸念等から一般的支持を得ていないと指摘しています。
青山学院大学特任教授の猪木武徳氏は、ヘイトスピーチには紛れのない基準が存在せず、一般的に被害者とされる少数の集団が多数の普通の社会生活を送る人々を脅す例もあり、ヘイトスピーチ規制による国家による言論統制も警戒する必要があるとしています。また、はっきり意識されないまま、社会が醸し出す「空気」によって言論の自由が侵される危険性を指摘。異論を唱えにくい雰囲気が、「正義」の装いをまとって国民を知らず知らずのうちに思わぬ方向へと誘い込んでしまうこともありうると述べています。
立教大学教授の渋谷秀樹氏は、著書である憲法教科書において、政府の規制を肯定すると、差別的言論の認定権を政府にゆだねることになり、その恣意的な運用が懸念される。思想の市場機能を信頼して、差別的表現については対抗表現によって対処すべきである、と述べています。
今回の陳情審査を行った総務財政委員会所属の区議諸君は、まさに猪木教授が指摘した「異論を唱えにくい雰囲気が「正義」の装いをまとって」いる陳情だったために、ついつい、うっかり賛成をしてしまった、と推測されるのであります。
さて、我が国が批准した、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、所謂人種差別撤廃条約4条が人種に基づく差別の煽動を禁止しておりますが、我が国は本項につき「言論の自由に抵触しない範囲で履行する」とした留保をつけているのです。
この条約に基づく、国連人種差別撤廃委員会による審査については、昨年8月28日の自由民主党ヘイトスピーチPTにおいて山田賢司衆議院議員が次のように述べております。
日本は人権を軽視している国か?そんなことはない。国籍にかかわらず何人に対してであれ、暴言を吐いて人を貶めたり、脅かすことは許されないのは当然のことで、現在でも名誉棄損、侮辱、暴行、器物損壊、威力業務妨害に対しては刑罰があり、実際に取り締まりも行われている。違法行為は粛々と取り締まるべきで、国連の委員会に言われたからといって、中身も把握せず、兎に角法規制を行うというのではなく「既に法規制済みであり、違法行為は厳正に処分を行っている。それに加えて法益侵害が曖昧なものまで処分することは、むしろ表現の自由という重要な人権の侵害にあたる」と毅然と反論すべきである。
流石、保守政党、自民党の代議士であります。まさに、その通りなのであります。
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06月22日(月)
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