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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■予備自衛官招集訓練終了所感
5日間の招集訓練を終了して800キロのマイクロバス「移動訓練」も終わり自宅に到着した。府中基地到着時に、同行していた現職自衛官が「本部正面玄関前で下車してください。バスは荷物を載せて裏に回ります」と言う。なんとなく、はあ、はあ〜!と思ったが、その通りだった。
過去20年来、本部庁舎玄関でバスを降りるなどという「接遇」はなかった。だいたい裏口で降りて「コソコソ」帰るというパターンだった。それが、なんと本部庁舎玄関に、人事科長と担当官が制服制帽で出迎えているではないか!
まさか、防空指揮群人事科が、私ごときのブログ(9月10日参照)を読んでいるとは思えないので、最初から帰路は「丁重に出迎える予定」だったのだろう。GOOD!である。来年からは「送迎」だとBETTERだと思う。現職自衛官にとっては、訓練で出かけるのは「日常」だが、予備自衛官にとっては「大事件」である。その事件を見送る、出迎える「たかだかの事」が、実は「人事」という仕事では大切なのだ。人事も慣れてくると「ヒトゴト(人事)」になってしまう危険がある。
5日間の訓練で気づいた事項をいくつか所感として指摘しておこう。万一このブログを読んで下さる関係者がいたら、改善方お願いする。
1.航空自衛隊の「お役所化」について
実戦部隊である航空自衛隊が「お役所化」していることを痛感した。以前から、自衛官の「サラリーマン化」が嘆かれていたが「なるほど」という印象である。45名の予備自衛官参加者のうち、府中地区から初参加の2名が「予備自衛官手帳」という身分証明書の発行が間に合わなかった。結果、この2名は5日間「籠の鳥」状態で基地から外に出れなかった。
採用から1年近くの時間的余裕があって、たかだが身分証明書を作成できない組織も大問題だが、その事情を説明されたにもかかわらず「制服着用の現職または予備自衛官の幹部が引率しなければ外出は出来ない」と、偉そうに答えた第六航空団(小松基地)の対応にもあきれる。
このもっともらしい回答には無理があるのだ。
@府中地区の予備自衛官を引率している現職は2等空曹で幹部ではない。
A府中地区の予備自衛官には幹部が1名いるが、制服を支給されていない。
つまり理屈をこねているが、出来ないことを承知で回答している。
基地には様々な民間人が出入りしている。工事業者、自動販売機業者、食堂のおばさん、新聞配達のおばさんとおじさん等。いずれも立ち入り許可証を持っているので、民間人だが基地の出入りは自由だ。ところが、頭の固い第六航空団は、防衛大臣の訓練招集命令書を持参している予備自衛官に、基地から出てはいけない、とおっしゃるのだ。立派な「お役所仕事」である。
残念ながら、自衛隊の幹部人事は能力主義ではない。いかなる出自の何年採用か、同年次なら幹部候補生学校の卒業順位は何番か、さらに上級幹部になれば、指揮幕僚課程(通称:CSまたはCGS)の卒業順位が加わる。霞ヶ関の官僚と変わらない年功序列社会である。
結果、社会性や対応力などの能力よりも「規則」やら「ゴマすり」「試験対策」に精通した人間が昇任する可能性が高くなる。上記の事例など、人事班長が航空団司令の許可(実際には、基地業務群司令)を得て、臨時の入出門証を作ればいいだけの実に簡単な話だ。が、書類を1枚余計につくり、ハンコを3つ程もらわなければいけない。面倒くさい。したがって「外出させない」となる。いざ有事になれば「いい訳」など出来ないのだ。日ごろから「言い訳」を言わない組織作りが戦闘集団には求められる。
2.日韓の認識の違いについて
防衛教養の中で、教官になった若い幹部が、弾道ミサイル防衛計画やご自身の韓国空軍大学留学の経験談をされた。仔細は「秘」に触れる部分もあろうので書けないが、印象的な部分を示す。
韓国空軍パイロットは、朝鮮半島有事の際は、それぞれが「北朝鮮の○○市所在の○○を攻撃する」という明確な目標を与えられて訓練をしている。そのほとんどが、対地攻撃訓練である。空自の防空戦闘とは、まったく異なる。
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09月14日(火)
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