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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■平成22年第3回定例会一般事務に関する質問
だとすれば、この手法は、全国の自治体が行って発覚している「預け金」と同じものです。さらに、この公金の執行には大きな落とし穴があります。旅費は全額、それぞれの事業課のもっている普通預金に会計管理室から振り込まれ、庶務担当係長が現金で、これを抜き、出張者本人に渡し、出張者はそこから後は私費として旅行会社に払うのです。したがって、旅行各社の見積書は予算算定の資料として公文書開示で公開されますが、その領収書は「文書不存在」なのです。これでは、いったい、本当は何にいくら使ったのか、まったくブラックボックスです。
なぜ、公務で出張すると、これほどまでに高額なのでしょうか。教えてください。大田区職員の旅費に関する条例第6条には、航空賃は実費額、現地車賃も実費額と定められています。世の中のデフレ激安の流れの中、本当の実費額、区長や管理職の皆さんが家族を連れて旅行する際に、普通に支払うであろう金額にすべきだと考えます。時代は変わったのです。襟を正そうではありませんか。なぜなら、そのお金は、すべて区民の貴重な税金なのですから。
さて、区長が昨年6月にタイへ旅行されたのは、AMATA社がタイに開設した日本企業向けオオタ・テクノパーク見学が主な目的でした。この工業団地への区内企業の展開については、大田区産業振興協会が支援をしています。また、中国大連市においては産業交流を促進するためのトップセールスまで区長が行われました。
これは、国際化という区長のスローガンの一環なのでしょうが問題です。大田区の産業政策の大きな転換と受け取られかねない暴挙であると言ってもよいかもしれません。我が国の中小ものづくり産業は、労働集約型では人件費の安い国々に勝つことはできません。技術力で勝ち残るしかないのです。その拠点をタイや中国に求めることは、雇用の喪失、技術の流失など重大な問題をはらんでいます。産業政策において、単純に「国際化」を掲げるべきではありません。広くマーケットを海外に求めることは大変重要ですが、ものづくりの街、大田区の灯は消してはなりません。その意味では強く警鐘を鳴らしておきたいと思います。
そのような、実に危ない大田区の産業政策の中でも、今回もれ聞こえてきた目玉には、あえて拍手を贈りましょう。それは、民間と官の力をあわせた、集合型工場であります。これは、東糀谷6丁目の工業専用地域のアスファルト工場計画に端を発しています。当時、アスファルト工場が認可され基礎まで完成していたにもかかわらず、言われなき中傷などにより事業が止まってしまった場所です。
その後、工業専用地域でありながら、都建築審査会の許可を得て、地元NPOと社会福祉法人がホテルのような立派な総合福祉施設を完成させました。「これからの福祉は、質の競争だ」との理事長さんの開業挨拶には感動したものです。ところが、この施設開設にあたっては、地元工業界からは少なからず反発がありました。工場とそれ以外の用途の棲み分けをすべき都市計画法上の工業専用地域が、なし崩し的にそのほかの用途になることを危惧した、ものづくりの経営者たちのもっともな意見でもありました。
それから数年、アスファルト工場の残地には、様々な計画がありましたが、実現には至りませんでした。そして、ついに、本年8月、新たなものづくりの拠点として開発されることが決まりました。この事業は、土地を東京電力の子会社である東電不動産が取得。地元まちづくり系NPOが事業コンサルとして参画し、大田区が、事業費の一部を東電不動産に補助金として支出し、その資金で同社が工場アパートを作る、というものです。
さらには、国は企業立地法に基づき事業費の80%の無利息融資を行い、大田区は入居者たるものづくり中小企業に、入居資金として1000万円まで助成する計画です。計画によれば、4階建てで30ユニットの集合型工場が、2年後には完成するとのこと、大森地区の工場アパート計画が頓挫した今、意欲あるものづくり事業者には、その完成が待たれます。
このような、実効性ある産業政策は大いに推進すべきですが、タイへの進出、中国との連携など、いささか計画に産業政策としての一貫性が欠けるように感じますが、大田のものづくりをどうされるおつもりなのかうかがいます。
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09月17日(金)
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