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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■続・「天壌のテンペスト」のこと
完成度の高いアクションゲームは、自機を操作しているだけでも面白いというのが私の持論であるが、この作品では更に自分のプレイに魅了されるにまで至り大きな衝撃を受けた。何しろ、自分が入力した操作のとおりに画面内の自機が動くという、ある意味結果が自明な行動のはずである。達成感や高い満足度ならいざ知らず、魅了されるというのは余程の大事である。
とにかく天子の一挙手一投足、特に攻撃に関わる動きの迫力と躍動感が素晴らしい。細かく書き込まれて滑らかに動くドット絵に、攻撃の種類に応じて溜めやブラーといった演出が事細かに施され、そして極めつけはその威力が肌に伝わるほどの豪快な効果音。これら演出効果の見事な融合は、打撃では要石の潰れる衝撃が、剣撃では緋想の剣の鋭い太刀筋が、コントローラを通じて手に伝わるような錯覚すら覚えるほどであり、その錯覚が先の演出効果と合わせて更に感情の根源的な部分を刺激して、そこから得られる快感にすっかり魅せられてしまった。
とはいえ、その魅力も発揮できる場が無ければどうしようもないのだが、その点においてはこの作品はボス戦、道中共に抜かりが無い。特に、ボス戦では痛快無比という表現がこの上なく当てはまるほどの活劇を存分に堪能させてもらえた。そもそも、天子の攻撃を真正面から受け止められる強さと体力を誇るボス達に、打撃から剣撃から遠慮なく発揮できること自体が大きな喜びである(勇儀の気持ちが良く分かる)。そして、攻撃を既の所で回避して気質を掌握し、間髪入れずに緋想の剣で一閃するまでの一連の流麗な動きには見惚れるばかりで、アミュレットブレイクから一方的に攻撃を叩き込む展開では圧倒的な優越感に浸り、ボスへの止めの一撃を与えたときの閃光と影、轟音による息を呑むような演出には最早言葉も出なかった。これらの演出を体験してしまうと、単に勝つだけでは満足できず、いかに華麗な戦いを演出し、いかに格好良く止めを決めるかを突き詰めたくなる。
併せて、ボス達の動きやら繰り出す攻撃やらも天子に負けじと演出から内容から魅せるものばかり。体験版で鈴仙のスペルカード宣言のドット絵や裏最終符を見たときは、1面から全開の注力ぶりに度肝を抜かれたものである。また、ボスのスペルカードも、既存のものはこの作品に向けた再構築の上手さに、独自のものはそのセンスにそれぞれ感服。「Mystical Chain」で魅せたその手腕は未だ健在であった。
道中はどうかというと、さすがに毛玉や妖精相手ではボス戦のような大暴れは出来ないものの、各面趣向を凝らした仕掛けや地形において、天候発現を始めとした技巧的な刺激が十分に楽しめる構成となっている。特に、終盤において天候が地形やゲーム進行にまで影響を及ぼすことに対しては、天候発現システムの活用の幅の広さに驚いたものである。さらに、気質掌握した敵に緋想の剣を決めたときの手応えと演出の中毒性はとても高く、その影響たるや敵の攻撃が妨害ではなく天候発現の絶好の機会にしか見えなくなってくるほど。かくして、道中でも天候発現を決めては自分のプレイに酔いしれるのであった。
勿論快適な操作性は言うに及ばず、コマンド不要のボタン+方向入力だけで多彩なコンボが出せる簡便さ、魔法陣の付いた敵をある程度自動で追尾する仕様など、快適にプレイするための配慮も着目すべき点である。その上で、天子の行動に対する優れた演出に、それを存分に発揮できる舞台がしっかりと用意されており、かくして自分のプレイに魅了されるに至ったといえる。
物語は「東方緋想天」の後日談的内容。中盤くらいまでは割と暢気な展開なのだが、諏訪子の口から真相が語られてからは一気に深刻度が加速し、そこに追い打ちをかけるがごとく衣玖の決意が明らかにされる。
終盤の畳みかけるような展開に天子への感情移入の度合いが急上昇。投げつけられる辛辣な台詞に必死に答える姿を痛ましく感じ、最後の戦いに挑む前の啖呵を頼もしく思い、エンディングでは衣玖と同じ感慨を抱くまでに。また、台詞の端々から、紫や諏訪子も完全に敵対するつもりは無かったのではないかという推測も成され、衣玖とどのようなやり取りが成されていたのか想像すると、更に話が膨らんでいく。
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11月07日(木)
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