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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ おくりものをおくりあうこと。(金蘭千里中学校講演・後編)
先週の実践女子大学では質問がなかなか出なくて長い沈黙があったけれど、今回は果たして……。

やはり中学生、なのか。
やはり大阪、なのか。

次々と手が挙がり、質問が途切れることなく30分。

「こんなん聞いてええんやろか」のハードルを飛び越えて、ギャラの質問まで飛び出した。その質問のおかげで、さらに聞きやすくなったようで、素朴な疑問をたくさん投げかけてもらえた。

帰りの新幹線からツイッターにせっせと書き込み、自前ハードディスクから自然消滅する前に外付けハードディスクにお引越。「脳みその出張所」を持ちましょうと今回の講演でもお話ししたところ。

順番はうろ覚えだし、漏れもあるかもしれないけれど、書き留めた質疑応答は以下の11問。

Q1.書けなくなるときはありますか? そういうときはどうしますか?

A1.スランプはあまりないですが、ネタに詰まったときはパソコンの前で唸っていてもしょうがないので、お皿を洗ったり子どもの相手をしたり、他のことをして気分転換します。その間も脚本のことを頭の片隅に留めて心の傘を開いておくと、ふとしたときにひらめきます。
勉強もそうで、気分が乗らないときはいったん離れたほうが集中できると思います。


Q2.脚本は何日ぐらいで書きますか?


A2.90分の脚本を2日で書いたことがあるのが最速です。速さは大事だけど、速ければいいってものでもなくて、粗いと直しに時間がかかって、結局遠回りになります。29文字×26行を一時間で10枚書くこともあれば1枚のことも。考えがまとまっていると速いし、悩むと止まります。映画だと2時間分の脚本を書くのに一か月ほどもらえて、急がなくていいからじっくりいいもの書いてと言われたりします。


Q3.『子ぎつねヘレン』のとき、いくらもらいましたか。


A3.駆け出しでしたが結構な原稿料でした(講演では具体的な数字を披露)。こんなにもらえるのと驚きましたが、かなり時間がかかってるので、これぐらいもらわないと大変ですね。子ぎつねヘレンは、原稿料以上に著作権の二次使用料が大きかったです。地上波で放送されるだけで30万など。DVDを買ったり借りたりしたときの著作権使用料もとても大きいので、最近は違法にアップロードされたものを観れたりもしますが、ちゃんとレンタルして観てくださいね。


Q4.学校で配られたプロフィールにCMソングってあるけど、どんなのを作ったんですか?


A4.冷凍食品は-18度以下で冷凍をという冷凍マイナス18号ソングをYouTubeで見られます。「魚・魚・魚」の歌みたいにいつかブレイクするかもしれないので、どんどん見て話題にしてあげてください。他にやきいもやトマトやちらし寿司の歌も。


Q5.締め切り前なのにアイデアが思いつかなくて進まないときはどうしますか?


A5.頭の片隅に留めておくと、締め切り前のぎりぎりにアイデアが思いつくこともあります。札幌のNHKの脚本コンクールに出す作品を書いたときは、締め切り1週間前に「発症後の記憶の蓄積ができなくなる記憶障害」というのがある、と会社の隣の席の人が読んでいた雑誌で知って、それで書き始めたんですが、北海道とつながらなくてどうしようと思ってた。そしたら、会社に出勤する途中の階段で「雪=記憶だ!」ってひらめいたんです。はかなく溶ける雪と記憶と重ねて、でも、雪をぎゅっと固めて雪だるまにしたら溶けにくくなる。そこから「雪だるまの詩」という作品が生まれました。
最良の案が思いつかないときも、そこで立ち止まらず、代わりの案で先へ進んで、演出やプロデューサーともっといい案を考えます。たまにホームランを打つのではなく安定して打てるのがプロかなと思います。 


Q6.日記を書くのと脚本を書くのとどっちが楽しいですか?



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07月03日(水)
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