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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 鬼が島とマテ貝採りと石窯ピザの小豆島5日目
6時50分起床。トーストとフルーツとプチトマトの朝食。ぽんかんが甘酸っぱくて、おいしい。「てっぱん」で自分の恋心に気づかない鉄平に、加奈が「どんかん」と独り言でなじってから「ぽんかんのおいしい季節になりましたね」と誤摩化す台詞を書いたものの使われなかったことを思い出す。
女木島(めぎじま)へ行こうか、男木島(おぎじま)へ行こうか、朝まで決めかねていた。どちらも行ってみたいけれど、はしごだとせわしない。男木島は女木島の次の港、片道20分多くかかる。決め手は「木村崇人」の名前を女木島のアート作品に見つけたことだった。
留学時代の同期のミカコのいとこヒロコちゃんのダンナさん。10年近く前に体験した木もれ陽プロジェクトが印象に残っている。木もれ陽は太陽の形だと教えられ、そのことを歌詞に入れこんだウェディングソングを作詞したほど。
これが、その、木村さんの手がけた作品「カモメの駐車場」。女木島の港に着くと、ずらりと並んだ風見鶏のカモメたちがおしりをふって出迎えてくれる。

女木島は別名鬼が島。港にある「鬼の館」で洞窟行きバスの往復切符を買い求め、バスに乗り込む。鬼が住んでいたという洞窟を探索できる。説明の看板を読みつつ奥へ進んでいると、元気のいい男性ガイドの声が聞こえてきた。遠い昔、海賊たちが手で穴を堀り、自分たちのアジトを作ったこと。入口は敵から攻め込みにくいよう、出口は逃げやすいよう作られていることを、何度も説明するうちに身についたと思われる名調子で語ってくれる。
出口付近に「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」というアート作品が。ワイヤーで形作られた裸体が三体、天井からつり下げられているのだが、その影が洞窟の壁面に映し出され、幻想的。

ガイドのおじさんが「瀬戸内の海をパノラマで見られるのはここだけ!」と絶賛する展望台へ登り、360度のビューを満喫した後、バス停近くの茶屋でお団子を食べる。ひと皿百円と良心的。

愛知県立芸術大学アートプロジェクトチームが手がける「MEGI HOUSE」。コンサートなどのイベントをやる日はにぎわうらしいが、平日ということもあり、のんびり日光浴できた。受付の男性がチョコレートとガムをくださる。

「MEGI HOUSE」を出たところで手押し車を押した地元のおばあさんに声をかけられる。たまを見て「この島は年寄りばっかり。子どもがいないの。年に一度産まれるかどうか。去年一人産まれて今年も一人産まれそうだけど。保育所も高松まで行かないと」。島にある保育所を通り過ぎたが、そこはもう使われていないということのよう。
「島から小学校に通う子はいない」と女木島と男木島を舞台にした映画『めおん』の資料にも書かれていた。

海辺に置かれた「20世紀の回想」(禿鷹墳上)は、帆を張り、船のようだけど、回り込むとピアノになっている。『海の上のピアニスト』という映画もあったし、『ピアノ・レッスン』も連想。

女木島のいいところはアート作品を歩いてまわれること。「均衡」(行武治美)はケータイより小さな鏡を無数につなげあわせて(気の遠くなるような作業だったのではと想像)天井から簾のように垂らした不思議な部屋。目が慣れてくると、無数の自分が映り込んでいるのがわかる。裏側から見たり上から見下ろしたり、角度を変えると、また違う風景になる。

離れには五右衛門風呂。たまは「トトロのおふろ!」と興奮。

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05月04日(水)
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