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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 紙芝居のわんわんにパンをあげたい
最近たまが凝っているのが紙芝居。保育園で読み聞かせてもらっているからだろう、図書館で借りてきて、うちでもやってほしいとせがむ。先日借りて来たのは「よくばりわんくん」「たんぽぽすみれ」「ちいさなおばけ」の紙芝居。
「よくばりわんくん」はイソップ童話が原案で、肉屋の店先から肉をかっさらって逃げて来た犬が川に映ったわが身を見て、あっちの犬がくわえている肉もと欲張って吠えたら肉が川に落っこちてしょんぼりというお話。ダンナ父が親しくしていた堀尾青史さんの作で、「じいじのおともだちがかいたんだよ」と言うと、たまは「しってるよ」。じいじと二人で図書館へ行ったときに堀尾さんの作品をたくさん読んでもらったそう。
「たんぽぽすみれ」はうさぎのウーちゃんと仲良しのトニーくんが保育園に入って、あまり一緒に遊べなくなる。保育園のすみれ組のバッジをうらやましがるウーちゃんに、トニーくんがたんぽぽのバッジを詰んできてプレゼントするお話。
「ちいさなおばけ」は瀬名恵子さんの作品。迷子のうさぎをなだめようとおばけちゃんが月見団子に化けたところ、うさぎにかじられて痛くて泣き出す。そこにうさぎのお母さんが本物の団子を持って現れ、仲良くお月見をするお話。
「よくばりわんくん」のラスト、川に落っことした肉が見つからず、びしょ濡れになってうちひしがれるわんくんを見て、たまが言った。「たまちゃん、わんわんに、パンあげたいよ」。そこで「しょんぼりしているわんくんに、たまちゃんがちかづいて、これあげるとパンをさしだしました。わんくんは、そのパンをたべて、ちょっぴりげんきになりました」と結末を書き換える。
おなかをすかせたわんくんに紙芝居の外から差し入れとは、面白いことを考えるなあ。わたしも子どもの頃、絵本の続きを考えていたというけれど、カエルの子はカエルなのかしら……と感心。「たま、いいこと思いついたね。わんくんも喜んでいるよ」と褒めた。すると、「たんぽぽすみれ」のラスト、すみれのバッジをつけたトニーくんとたんぽぽのバッジをつけたウーちゃんがニコニコしている場面でも「たまちゃん、パンあげたい」。さらに、「ちいさなおばけ」でおばけちゃんとうさぎちゃん親子がこれからお団子を食べようって場面でも「パンあげたい」。
ううむ、誰にでもパンをあげれば喜ぶってもんじゃないよ。TPOってのがあってね……というのをどうやって子どもに説明しようか。
「おばけちゃんたち、お団子を食べるんだから、パンも食べたらおなかいっぱいになるんじゃないかな? 何してあげたら喜ぶかなあ」と絵を見て一緒に考える。うさぎちゃんにかじられた跡にばんそうこうを貼ったおばけちゃんを見て、たまは「たまちゃん、このばんそこえいどをはってあげる」。それはいいねと「えーんえーんとおばけちゃんがいたがってないているところに、たまちゃんがやってきました。なかないで、おばけちゃん、たまちゃんがばんそこえいどをはってあげるからね」と手当てするという筋書きにしてみた。
そして、「たんぽぽとすみれ」は、トニーくんのバッジがほしいようと言うウーちゃんに「たまちゃんがバッジをあげる」。ちょうど先日じいじと花巻旅行へ行ったときに大沢温泉の旅館で缶バッジをいただいた。それをウーちゃんにあげることに。「すみれ たんぽぽ たんぽぽ すみれ うれしいな」とトニーとウーちゃんが歌う場面は「すみれ おおさわおんせん おおさわおんせん すみれ うれしいな」となった。でもたんぽぽのバッジがなくなっちゃうのはもったいないねとなり、大沢温泉バッジをつけたたまちゃんが仲間入りして「すみれ たんぽぽ おおさわおんせん」と三人で歌う筋書きに。
こうしたらもっと面白いんじゃない? だったらこういうのはどう? そんなやりとりをしながら物語を彫刻していく。今わたしが仕事でやっている脚本のアイデア出し会議と、やっていることは変わらない。
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06月21日(月)
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