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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 会う回数と親しさは必ずしも比例しない
一昨日のこと、初めて世論調査の電話を受けた。米ギャロップ社が世界的に行っている意識調査を日本の調査会社が代行。英語を訳した不思議な日本語の質問を約15分。終わってからしきりと感謝されたので、なかなか人がつかまらずに苦労されているのかもしれない。
その世論調査は生活の満足度についてのもの。家の近くに公園はあるか、昨日はきれいな水にありつけたか、首長は生活者の意見に耳を傾けているか、ここ一年以内に物を盗られなかったか、仕事を見つけやすい地域であるか……などなど。
インタビューはブレストだと思う。質問という予期せぬボールを投げられ、普段考えていないことに思いを巡らせる機会を得る。そういう意味で世論調査の質問は最後まで興味深かった。そもそも調査に応じるかどうかには好奇心の要素が大きく絡むので、その時点で結果にバイアスがかかっている気がする。
「海外で仕事をするチャンスがあれば、したいですか」の質問に、少し考えて、はいと答える。希望する国名を聞かれて咄嗟に口から出たのは「ドイツ」。へーえ、ドイツなのかと自分の答えが意外だった。何度も行っていて大きな影響を受けている大好きな国だけど、そこで働く自分は想像できない。
「自分の発明や発見が世界を変えると思う」。この質問にはいと答える日本人は少数でアメリカだとけっこういるんだろうなと想像。「自分が選んだ道で世界的に成功すると思う」の質問には、自分の作品が世界へはばたく期待も込めて、はいと答えた。
「あなたの意見は職場で尊重されていますか?」という質問も興味深い。今自分が手がけている原稿がどう扱われているのかを客観的に見つめ、はいと答えた。
生活の満足度を測る調査なのだと思いながら質問に耳を傾けていると、生活の質を構成する様々な要素が浮かび上がってくる。「2週間に一度程度会う友人が何人いますか?」という質問に、親しい友人とでさえ半年に一度、下手したら一年に一度しか会えていないことに愕然となった。友人どころか家族と過ごす時間まで仕事に回してしまっている生活は、決して健全とはいえないのかもしれない。けれど、次々と投げられる質問への答えを総合すると、わたしという回答者は今の生活にかなり満足している。それは、やりたいことを仕事にさせてもらっているからだろう。
仕事の張り合いと生活の充実。普段はあまり意識することのないワーク・ライフ・バランスってそういうことか、とふと思った。
ところで、この調査のことをツイッターでつぶやいたところ、「親しい友人とでさえ半年に一度、下手したら一年に一度しか会えていない」ことに対して、
それを友人と呼べるか?疑問(゚ω゚?) ちょこちょこ遇うから友人では…その人達は 電話はしているのかな?
という指摘があった。それに対して、
「会う回数と親しさは必ずしも比例しない」と考えますが…どうでしょう。わたしの片想いかも。
とつぶやいたところ、さまざまな人からの反応があった。
数年音信不通でも、連絡がついた時には、昨日も会っていたかのようにしていられる。私にとっての友人とは、そういう存在ですけどねえ。
会う回数でいったら、今は友達いなくなっちゃいますよ>自分。(^_^;
「親しい=悩みを包み隠さず話せる」イメージがあるので、昔からの付き合いの友人達を思い浮かべます。必然、引越したり環境が変わったりで、頻繁なコンタクトはないですが…。「仲の良い友人」だとママ友も思い浮かべたり。
年に一度電話する友だちもいます。でも週に何回も会うひとよりも深い。高校からの友だち……。
それらのつぶやきに対して「同感」といった声が寄せられ、最初に疑問を呈した人も「友とは、深いな」。
そんなやりとりを見ながら脳裏をよぎったのは、

It doesn't really matter how apart we are, what matters is how close we are.(どんなに離れているかは問題じゃない、大切なのはどれだけ近しいかってこと)
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06月17日(木)
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