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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ すっとこどっこい器械体操部
高校時代の器械体操部の同期三人が訪ねて来る。今も地元大阪に住むミホとヒデチンが東京へ遊びに来たので、東京在住のヨシミちゃんにも声をかけ、締切に追われるわたしに合わせてわが家に集まってくれた。

娘のたまが産まれた二か月後に会いに来てくれたミホとは三年半ぶり。ヒデチンとは彼女がドイツの日本料理店で働いていたときにデュッセルドルフで待ち合わせてポーランドへ鉄道旅をし、アウシュビッツを訪ねた。会うのはそれ以来だったか、その後も会ったか思い出せないけれど、十年は経っていると思う。ヨシミちゃんに至っては、ひょっとすると高校卒業以来で、そうなると二十年あまりぶりとなる。

地方出身者にとってお国言葉は便利なもので、それが自分にとっての標準語だった時代にタイムスリップするスイッチの役割を果たしてくれる。大阪弁でお国スイッチが入ると、長年のブランクを軽やかに飛び越え、姿形は変わっても気分は十代の高校生に。あの頃の二倍以上の年齢になっていることなど忘れて、懐かしい名前を連呼していると、記憶の底で眠っていた思い出がするするとたぐり寄せられていった。

器械体操部出身と大きな声で威張れないほどの弱小部で、わたしが入ったときには器械体操どころか汗にも無縁そうな地味な先生が顧問だった。威厳もないかわりに口出しもしないので伸び伸びとやらせてもらえていたけれど、我流でバク転に挑む部活というのは今から思えば危なっかしい。

「床の演技で振り付け忘れて棒立ちして、その後はアドリブで踊ったわ」
「レオタードからパンツがはみ出たら減点やから、縫いつけたなあ」
「平均台は棒の上行ったり来たりするだけやったな」
「ジャンプいうても、ほとんど飛んでへんかった」
「側転はめったに成功せえへんから、決まったら、びっくりしてしもて。え、決まったん、て」
「失敗すると、股打ってめっちゃ痛いし」
「しばらく動かれへん」
「フィニッシュが情けなかったな。あれは技ていうより落下や」
「そうそう、重力にしたがってボテって落ちて、ポーズだけしっかり決めて」
「跳馬は跳ばずに体当たりしてたなあ」
「採点する審判も、やってられんかったんと違う?」
そんな自虐ネタを次々とテーブルに出してきては大笑いした。器械体操部という名前からはほど遠い、キレの良さや美しさとは無縁のすっとこどっこいな三枚目集団だった。

わたしがアメリカ留学から帰ったときだったか、行く前だったか、日野正平にそっくりな体育の先生が顧問に就いた。ショーヘーは段違い平行棒を手作りし、合宿を導入。女所帯に男子も入部し、たちまち部の雰囲気は変わった。さらに、留年した一つ下の学年には、学年を代表する可愛い子が何人かいて、「体操部はキレイな子が多い」と言われていた。そんなところに、20キロの増量に成功して帰国したわたし。緑のレオタードを着ると笹団子、赤のレオタードを着るとダルマに。すっとこどっこいに磨きをかけて、すっとこどすこいになっていた。

過去が華々しいと、年を重ねてからは淋しさが募る気がするけれど、笑える過去は、後々まで楽しませてくれる。

今日のtwitterより(下から上に時間が流れます)
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【たま語】食事中におむつを脱いで踊り出したので、パンツはきなさい、ごはん食べなさいと連呼してたら、パンツ食べなさいと言ってしまったところ「♪パンツをたべるぅ〜パンツをたべるぅ〜パンツを〜〜たべるぅ〜〜〜」と即興突っ込み詩人に。揚げ足取りな性格は父親似。
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05月23日(日)
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