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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 生活の実感とツイッターとツイッタードラマ
大阪での打ち合わせを終えて実家に一泊し、東京へ戻る。最寄り駅まで歩く途中の出来事を、乗り込んだ泉北高速の中で携帯電話からツイッターに打ち込んだ。
堺の実家から最寄り駅のある一画まで1400歩。そこから改札までさらに700歩。なにもない道だけど冷たい空気で目が覚める。
posted at 09:12:28
駅へ歩いていると片側二車線の道路の対岸から自転車のベルの連続音。イラチが急かしてるのかと見ると、鳴らした男が自転車を止めて鳴らされた男に「乗れ」。若そうな二人は知り合いらしい。同級生かな。
posted at 09:15:05
続き。朝の澄んだ空気のせいか自転車男と友人男のやりとりが四車線向こうからくっきり聞こえる。自転車「乗れ」友人「どこまで?」自転車「駅」友人「(乗る)」自転車「飛ばすで」。簡潔なやりとりの中に親しさがうかがえる。
posted at 09:15:23
続き。十メートルほど二人乗りして友人男は自転車から下りた。やや小太り、重たかった模様。そこにも会話はなく自転車「(よろめく)」友人「(降りる)」自転車「(も降りて押す)」二人「(並んで歩く)」。
posted at 09:15:38
続き。何気ない風景、何気ない会話の中に人は生きている。その感覚を忘れちゃいけないなとあらためて思った出来事。やっぱりパソコンに向かってばかりじゃダメ、町に出ないと。歩け歩け。
posted at 09:15:53
なんでもない出来事だけど、いや、だからこそ書き留めておきたいことがあり、それが埋もれたり流れたりする前につかまえておけるところがツイッターのいいところ。140字という字数制限ゆえに迫られる省略と凝縮は写真で瞬間を切り取るのに似た効果がある。
推敲するメディアではないので、メールや日記や掲示板の書き込みよりも無防備だ。カッコつけたりもったいぶったりする必要も余裕もない。だから、ツイッターでのつぶやきには、素の自分が出る、出てしまう。
新幹線に乗り込むと、@225sadabanという学生さんから、
★★★@masakoimai なんかとっても素敵ですね(@∞@)「歩け歩け」
と返信があり、
歩くことは風景という静止画を動画に変えることなんだなと実感。その日常ドラマの実感を大切にしていたいなと。学生生活も普通の中にドラマが詰まってますね。
ということに気づくと同時に打ち込んだ。反射神経を使うやりとりはブレストのようでもあり、縁あって目にしたつぶやきから、普段こぼれてしまっていることを見つめたり考えたりする機会をもらっている。
そんなわけで今夜から始まったツイッタードラマ「素直になれなくて」は北川悦吏子さんが脚本ということもあり、注目して観る。素になれる、素直になれるツイッターのラクさを楽しんでいる身には、登場人物たちが鎧をまといすぎている気がしてしまう。本当の自分とは違う自分をツイッターで演じるような人が、実は多いのだろうか。ツイッター上でさえも素直になれない人たちが解きほぐされていく物語と見ればいいのだろうか。戸惑いを覚えつつ、今後の展開を予想。
わたしが脚本をせっせとコンクールに出していた頃、北川さんはヒットドラマを連発していて、憧れの人だった。月刊ドラマに載った脚本のト書きの書き方がオシャレで勢いがあって、ト書きにもノリがあるんだなと感心したのを覚えている。
「素直になれなくて」関連の書き込みが集まる#sunanareを見ていると、またたく間に何百件もの書き込みが更新されていった。このスピードはツイッターならでは。放送中に実況と実感が飛び交う面白さ、作り手にとっては怖い時代が来た。
今日のtwitterより(下から上に時間が流れます)
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フジテレビを「素直になれなくて」からそのままつけてたら玉木宏さんが「たまちゃん」と呼ばれてる!?「玉木宏 たまちゃん」で検索したところこんなページを発見。たまちゃんがこんなに…。 http://bit.ly/9e6GEO
posted at 23:34:22
わたしが子どもの頃いつもラジオで落語を聞いていた母に「最近CDで落語聴いてるねん」と話すと「落語ってオチがわかってるのに何遍聴いても飽きへんやろ。不思議やなあ」。オチへ向かう道中を一緒に楽しめるからなのかしら。 #rakugo
posted at 23:28:38
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04月15日(木)
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