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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ シナトレ13 企画書は自分を売り込む広告だ!
脚本を勉強している人のために始めた日記内連載「シナリオトレーニング」略して「シナトレ」。締切に追われるうちに、最後に書いた回(2008年10月28日(火) シナトレ12 こじつけ解釈で発想を鍛える)から一年以上の時が経ってしまった。

メールやらmixiやら「いまいまさこカフェ」掲示板やら多方面からの質問に個々に答えたものをQ&Aにまとめたら他の人とも共有できるのにと思いつつ、なかなかできていない。だったら、シナトレの連載に組み込めばいい、と思い立つ。

というわけで早速。質問者さんは作品のいくつかは形になっているけれど一本立ちはまだできていないセミプロの脚本家さん。プロとしてやっていく実力は十分お持ちで、あとは企画出しでアイデアが目に留まればレールに乗っかれるのだけど、というところにいるのだが、

実は、今まで企画書と言うものを書いた事がなく、どういう風に書けば良いのかさっぱり分りません。お忙しい中、恐縮ですが、企画書で一番参考になる本などありましたら、教えていただければ助かります。

と質問が来た。そう、たしかに脚本の書き方を教えてくれる学校は多いけれど、実践になったときのイロハが抜け落ちていることが多く、かといって今さら恥ずかしくて人には聞けず、「企画書ってどう書くの?」「プロットとあらすじはどう違うの?」「ハコ書きって何?」には駆け出しならずプロだって悩む。これらの検索ワードで今井雅子日記にやってくる人も多い。

わたしの場合は、仕事を重ねながら、こういうものであろうという自分なりの定義や書き方を得つつある。デビューして10年経っても、「こんな書き方があるのか!」と驚かされ、先人や先輩のワザを盗ませてもらうことは多々ある。試行錯誤しながらスタイルを作っていく柔軟性も脚本家には求められる。これが企画書だと提示されて、それをそっくり真似たまま固まってしまう人は向いていないとも言える。

で、わたしからは、こんな答えを返した。

企画書の書き方、実はわたしもよくわかっていません。わたしの書き方と、他の脚本家の書き方も全然違うし。ただ、大事なのは「何をやりたい」かがはっきり伝わるものにすること。なので、極端な話、A4一枚でもいいのです。だらだらと多く書いてなくても、まずは「つかみ」ができればいいので長くてもA4 3枚ぐらいでいいと思います。プロデューサーが食いつけば、もっと詳しく書けばいいのです。社内フォーマットをA4一枚にしているテレビ局もあります。

書き方としては、わたしは、自分の企画を売り込むコピーだと考えています。だから、テーマが直球でわかるキャッチコピーがあって、小見出しで見どころをまとめて、細かいところはボディコピー風に小見出しに続けて書きます。

映画やドラマなどのチラシやパンフ、あるいはサイトの「作品紹介」もけっこうこの形になっているので、そういうものを研究して、「この書き方、見たくなるぞ」と思ったスタイルを真似てみるのもいいでしょう。キャッチのつけ方などは参考になると思いますし、思わせぶりな書き方なども盗めると思います。

企画書の書き方も個性のうちなので、あえて基本フォーマットを意識せず、どうやったらこの一枚でプレゼンできるかを考えるのがいいと思いますよ。小見出しをつけるのも、相手の読みやすさへの配慮です。

プレゼンと同じと考えれば、書けたものを友人などにまず見せて「人が読んでわかるか」のチェックはしたほうがいいでしょう。

自信作ができたら送ってください。そのときにあわせてプロフィールを送ると親切です。

メールでやりとりできる便利な時代だからこそ、メールの第一印象は大事。ちなみにセミプロさんの質問は、こんな風に締めくくられていた。

本当に、「お前は、おんぶお化けか!」と言われるくらい、おんぶに抱っこで申しわけありません。

こういうチャーミングな表現ができる人は、脚本も面白いのではと期待させる。逆に、自己紹介もなしに「脚本だけで食べていけますか?」などと想像力もサービス精神もない質問だけを送りつける人がどんな脚本を書くか、推して知るべし。

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