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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 小豆島3日目ロケ地めぐり&朝ドラ「つばさ」最終週は「二度目の春」
『ぼくとママの黄色い自転車』ロケ地、小豆島を訪ねて、3日目。今日はオリーブの記念植樹から始まった。映画でも今回の滞在でもお世話になっている柳生好彦さんは小豆島ヘルシーランドというオリーブオイル関連商品を扱う地元企業の会長さん。滞在先のゲストハウスのすぐ隣にオリーブ畑がある。今の季節は苗木を植えるのではなく、すでに根づいた木に土をかけるセレモニー。木の脇に記念メッセージのプレートを立ててくださるというので、「たまえの木」と名付け、「のびのび育て! たまえの木」と願いを込めた。

今はたまの背たけの倍ぐらいの大きさだけど、大きくなると、7〜8メートルほどになるのだという。小豆島の大地に根を下ろした「たまえの木」が枝を伸ばし、実をつけ、のびのび、すくすく育つのを想像するだけでも愉快だ。もう少し大きくなったたまを連れて、大きくなった木を見に来よう。

今日大阪に帰るうちの両親とともに、柳生さんに小豆島を案内してもらうことに。昨日のバーベキューでたまとよく遊んでくれた地元のユウキ君(5歳)とお母さんのミカさんも一緒で、にぎやか。車窓の外を黄色いレンタサイクルが連なって走るのをあちこちで見かける。真新しい車体の黄色が、島の緑に実によく映える。主人公の大志少年を黄色い自転車に乗せたいというのは、わたしのこだわりだったから、映画の中だけでなく現実の光景となったのは、とてもうれしい。

小豆島には農村歌舞伎の舞台が二つ残っていて、神社にしつらえられた舞台だけでなく、そこでの上演も300年あまりにわたって受け継がれているのだという。こちらは肥土山離宮八幡神社。上演は奉納という荘厳な儀式であり、とても神秘的な体験なのだそう。
映画にも登場する棚田は、もうひとつの歌舞伎舞台がある中山の春日神社の近くにあった。
「民俗資料館に興味はありますか?」と柳生さんに聞かれて案内されたのは、閉館となって久しい資料館。同級生のお父様、井口三四二さんが散逸していく島の生活道具を後世に残したい一念で集めた膨大な資料が倉庫に所狭しとひしめきあっている。別名「妖怪の元」と柳生さんが呼ぶ理由を、2日後の22日に知ることになる。
「店台」などと道具のひとつひとつに添えられた味のある説明書きは、三四二さんの直筆。亡くなる間際、柳生さんに資料館を頼むと言い残し、今は柳生さんが管理されているというが、三四二さんの想いを知っているだけに責任は重く、どのような形で公開すればいいのか、思案しているところだという。
美容院の一角を再現したこのコーナー、磨けば面白くなりそう。外観も再現して、フォトロケーションにするとか。
運営していた頃の看板は、今は役目を休んで転がっている。これも骨董の趣。

建物入口に立てられている資料館への想いを綴った看板からも三四二さんのひたむきさが伝わってくる。私財を投げ打ち、膨大な時間を費やし、まさに人生を懸けたのだろう。このまま眠らせておくのは宝の持ち腐れで、宝の山にする手はないものかと考えてしまう。

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09月20日(日)
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