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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 星良ちゃんインタビュー&朝ドラ「つばさ」第20週は「かなしい秘密」
今井雅子の映画脚本デビュー作『パコダテ人』で、しっぽが生える大泉洋さんの娘役を演じた前原星良ちゃんの母、せらママから「いつかこんな日が来るとは」という意味深な書き出しのメールが届いたのは、先週のこと。何事かと思ったら、「せらが今井さんを取材したいそう。夏休みの宿題で職業についてインタビューしなくちゃいけないの」というありがたいお話で、今日わが家に来てもらうことになった。

「私が行くと口出ししちゃうから」とせらママは遅れて到着することになり、二人きりでインタビュー開始。「ぴまわりぽいくえんぴよこぐみ ぷるたまゆ」だった星良ちゃんも、はや中学2年生。たくさんある職業の中から「脚本家」を選んでもらって光栄だけど、大人相手のインタビューよりある意味責任重大で、緊張する。星良ちゃんも緊張気味で、「えっと、えっと、どうしよう、何聞こう」と質問を投げるまでに逡巡するのが初々しい。

最初の質問は「コピーライターから脚本家になられましたが、何が変わりましたか」。前の職業から切り込んでくるとは、目のつけどころがいい。「コピーライターと脚本家の仕事は似ている部分が多いけれど、会社員からフリーランスになった違いは大きかった」と答え、「フリーは仕事を選べるし、自由が大きい分、成功するのも失敗するのも自分次第。自分で自分をプロデュースし、売り込む努力も必要」とつけ足した。チョコレート名刺で覚えてもらうのもそう、サイトを充実させるのもそう。

「コピーライターになったときの試験がユニークだったそうですが」と下調べも万全な星良ちゃん。せらママからの情報だそうで、元は日記に書いてあったのだっけ。「10色の地下足袋のネーミングとコピーを考えよ」「紙コップの使い方を思いつく限り考えよ」「馬の耳に念仏の新しい解釈を考えよ」の全3問に3時間。想像力を働かせることが苦手な人は時間を持て余し、得意な人には時間が足りない試験だった、と振り返った。

「コピーライター時代と今とで、世の中が変わったと思うのは、どういうところですか」には「インターネットの登場が広告も脚本も変えた」と答え、「コピーライターになったときと脚本家になったときで苦労したのは、どんなことですか」には、「会社員になったときは、自信はないくせにプライドは高くて人の話を聞かず、空回りしていた。失敗を重ねるうちに、人の意見を取り入れる余裕がでてきて、仕事がやりやすくなった。おかげで脚本家になったときは、さほど苦労しなかった」と答えた。

「脚本というのは、家作りにおける設計図のようなもの」というよくあるたとえを持ち出し、「子ども部屋が欲しいという子どもと、書斎が欲しいパパと広い台所が欲しいママのそれぞれの言い分を聞いて、交通整理しながら解決法を探るような仕事。根気強さと解決のための引き出しがたくさん要る」と話した。

「こういう家にしましょうという全体の計画があらすじ。次に大バコと呼ばれるおおまかな構成を作るのが部屋割りにあたるもの。そこが固まると、窓やドアの形や位置を決めるように、さらに細かくシーンを割って小バコを作る。最後に細かい線を書き込んで図面を完成させるようにト書きと台詞のスタイルにしたら、脚本が出来上がる」と脚本作りの過程を説明し、「脚本を書き始めるまでが半分、初稿を書いてから直す作業が残り半分という感じ」と言うと、「パコダテ人で星良に声がかかったときは、作業で言うとどの辺でしたか」という質問。「決まったキャストに合わせて本を書き直したりするので、早い段階で検討稿としていったん印刷してキャスティングを始めるケースが多いから、後半の最初のほうかな」と答えた。


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08月09日(日)
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