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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 『築城せよ!』がヒットすれば、日本映画の未来は明るい。
打ち合わせの帰り、銀座界隈から有楽町へとぶらぶら歩きながら、なんと多くの映画館があり、多くの映画がかかっていることだろうと思った。

年に数百本観るツワモノがいる一方で、何年も映画館へ足を運んでいないという人もいる。年に数本止まりが大多数で、月に一本なら観ているほうかもしれない。そんな限られた中の一本に選ばれるのは熾烈な競争だなあ、と作り手の一人として切実な気持ちになった。

ある映画制作会社の社長さんが以前「何行く?と友人や家族で話題になったとき、候補に挙がるのは3本まで。そこに入ってないと勝負にならない」と話されていたことも思い出した。

わが身を振り返れば、6月に映画館で観た作品はなく、今月は『風の絨毯』プロデューサーの魔女田さんこと益田祐実子さんが代表を務める仕事人集団・平成プロジェクトの最新作『築城せよ!』を新宿ピカデリーで観たのみ。『スラムドッグ$ミリオネア』も『グラン・トリノ』も『剣岳 点の記』も観たいけれど、一番終了が迫っている作品を優先させた。観たいリストのうち、あといくつ、スクリーンでかかっているうちにつかまえられるだろうか。

その『築城せよ!』は、6月20日公開で、新宿ピカデリーでの上映は当初2週間の予定だった。その間に駆けつけるのは厳しいかなあと危ぶんでいたら、口コミ人気に加えて、『徹子の部屋』に宮大工・勘助役の阿藤快さんが出演されて制作風景が紹介され、上映期間が延長されることに。

「7/9までは確実にやります」と古波津陽監督(クレジット映えするカッコいい名前。波田陽区にも似てるけど)から案内メールがあり、何とか滑り込めたのだが、帰りがけに受付で「いつまでやっていますか」と聞いたら、「17日までは確実に」とのお返事。間に合う方はぜひ!の気持ちを込めて、鑑賞の感想を。携帯で撮ったピンぼけ写真は、ロビーに飾られていた甲冑とダンボールのシャチホコ。 

60分サイズの『築城せよ。』を観て、あまりの奇抜さにぶっ飛び、上映会場にいた古波津監督をつかまえて「最高!!」と伝えたのが、2006年の暮れ(>>>2006年12月12日(火)  あっぱれ、『築城せよ。』!)。その上映会自体は、『私、映画のために1億5千万円集めました。―右手にロマン、左手にソロバン!主婦の映画製作物語』を読んだ古波津監督が「こんな映画を作ったのですが、宣伝の知恵をお借りしたい」と魔女田さんに連絡を取ったところ、持ち前の行動力でシアターサンモールを借りて実現させたものだった。

そこで話を終わらせず、愛知工業大学の記念事業と結びつけて、「『築城せよ。』を劇場版長編にしよう」と思い立った上にあれよあれよという間に形にしてしまったのが、魔女田マジック。その実行力はもちろん、先立つ物(=製作費)を調達した錬金術に脱帽。この不景気に、大口ドカンではなく小口の出資先を説得して回り、3億5千万円を積み上げた。朝日新聞の別刷りbe一面のフロントランナー欄を「平成プロジェクトの益田祐美子」が飾る日も遠くない気がする。

こう書くと、とんでもない豪傑を想像されそうだけど、魔女田さんは、わたしを紹介するときに「今井さんとはウマが合うの。レズみたいな感じ」などと爆弾発言をして相手を面食らわせるような人。天才というより天然で、無意識のうちにまわりを天災に巻き込むところが、いかにも魔女。『築城せよ!』の中で「頼りないぐらいがちょうどよい。手助けせんと人が集まり、心がひとつになる」といった台詞があったが、これは魔女田さんのことではなかろうか。

映画の成立については、先日ひさしぶりに連絡を取り合ったシネマジャーナルの景山咲子さんが立ち会った監督と魔女田さんのインタビューが詳しいので、こちらをぜひ。魔女田さんの顔を覚えておくと、スクリーンの中に見つける楽しみが。こんな登場の仕方も、さすが魔女。


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07月08日(水)
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