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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 親子で「まわるおすし」デビュー
保育園の迎え時間のギリギリまで締切と闘い、夕食の計画は空白。保育園から娘のたまと手をつないで帰りながら、「まわるおすしにいこっか」と提案すると、「いく! たまちゃん まわる!」と食いついた。あなたは回らなくてよろしい。店の前を通るたびに「ここ、まわるおすしのお店なんだよ」と教えていたのだが、寿司ではなく自分が回ると思っていたらしい。
通されたのは、レーンから垂直に伸びる二人がけのテーブル席。レーン側にたまを座らせる。手当たり次第皿をつかまえるので、危なっかしい。たまは初めてだが、わたしも最後に行ったのがいつだったか思い出せない。タッチパネルで注文できることに驚き、その注文品の到着をパネル画面が知らせてくれることに二度驚き、浦島太郎状態。会社時代に仲良くしていたヤギサキ嬢が人生初の回転寿司体験を前に「お皿をつかまえられるかな」と心配して、「そんなに高速回転しないよ!」と友人たちで大笑いしたが、今夜のわたしは、相当笑える素人だった。お茶の入れ方を忘れてオロオロ、お茶だと思ったらお湯で、今度はお茶の葉を探してオロオロ……。そこに我慢のできない2歳児が加わり、「たまちゃんの おすし こないよ!」「たまちゃんの おすし いっちゃったよ!」の大合唱。
たまは「生しらす」と「ねぎとろ」を気に入り、「大学いも」「プリン」「ジュース」と甘いものもペロリ。たまのために取ったサビぬきのトルティーヤ巻きやいなりは見向きもされず、わたしが面倒見ることに。二人で7、8皿食べれば十分だろうと思っていたら、倍の皿数になった。店と道路を隔てた向かい側にワゴン車のクレープ屋が来ていて、店に入る前は「後で行ってみようか」と話していたのだが、満腹だし、甘いものを食べ過ぎたし、クレープはもう入らないと判断して、家のほうへ歩き出すと、「あとで いいにおいやさん いこうねって いったじゃない!」とたま。魚のDHAで記憶力がさらに良くなったか? なんとかなだめすかして家へ帰ったけれど、においだけはいただいた。そんなわけで、今夜の子守話は「いいにおいやさん」の話。
子守話79「いいにおいやさん」
たまちゃんとママが おさんぽしていると
みちの むこうがわから いいにおいが してきました。
「あまーい におい。これは クレープね」と
ママが いいました。
クレープがやける いいにおいは みちの むこうがわに とめた
オレンジいろの ワゴンしゃから ながれてきます。
「クレープやさんだ」「いってみよう」
ママと たまちゃんは うきうきと あるきだしました。
ところが オレンジいろの ワゴンしゃに ちかづいていくと
やきいもの においが ながれてきました。
「あれれ クレープやさんじゃなくて やきいもやさんかな」
ママと たまちゃんは くびを かしげました。
もっと ちかづいていくと
こんどは カレーライスの においが してきました。
「あれれ いったい どうなってるの?」
ママと たまちゃんは かおを みあわせました。
「いらっしゃい なんのにおいに しますか」と
くるまの なかから おにいさんが こえを かけました。
オレンジいろの ワゴンしゃは クレープやさんでも
やきいもやさんでも カレーやさんでも ありませんでした。
いいにおいを うってくれる おみせだったのです。
くいしんぼの ママは さっきの クレープの においを
「もういちど」と おねがいしました。
おにいさんが 「クレープ」と ラベルに かいた びんから
ひとしずくを おさらに たらして かぜを ふきかけると
ふわあっと クレープの あまい においが ひろがりました。
ママは うっとりと めを とじて においを すいこみながら
「バナナと チョコレートクリームも いれてくださいな」と いいました。
おにいさんが 「バナナ」と「チョコレート」のびんから
ひとしずくずつ おさらに たすと
バナナチョコレートクリームいりクレープの においに なりました。
こんどは たまちゃんの ばんです。
さあ なんの においを おねがいしましょうか。
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06月16日(火)
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