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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 美容院とまつ毛と鏡
ダンナに子守りを頼んで美容院へ。母の日だし、堂々と甘えさせてもらう。「仕事がないときも保育園に預けてくださっていいですよ」と去年の春の保護者会で言われたのだけど、最近は風向きが変わり、「預けるのは、どうしても保育が必要なときだけに」と通達が出て、平日に美容院へ行けなくなった。

それだけが理由ではないけれど、美容院はずいぶんごぶさたで、3月に披露宴のためにセットとメイクとネイルをお願いして以来。髪を切るのはさらにさかのぼって昨年12月以来で、伸び放題の盆栽のようになっていた。いつもお願いしている担当の女性美容師さんがとても感じがよくて腕もよくて、「次回はもっと早く来よう」と思うのだけど、わたしの中で美容院の優先順位は低いらしく、どんどん後回しになって数か月が経ってしまう。


ひさしぶりに「キレイ」に気合いを入れたのは3月の披露宴のときで、当日美容院まかせで限界に挑戦してもらう四日前に別なサロンで「まつ毛エクステ」なるものをやってみた。地毛のまつ毛に接着剤で人工まつ毛をつけるという増毛術で、通常60本12600円(一本あたり210円)が初回半額で6300円。それでも一本あたり105円。丁寧に扱えば地まつ毛が抜け落ちるときに運命共同体で落ちるまで数か月持つという話だったけど、知らず知らず目をこすったり、娘に顔をたたかれたりしては一本また一本と落ち、そのたびに「ああ105円〜」。まつ毛一本で洗濯ネットが買える、ビニールシートが買える、傘が買える(百均で)。それこそ、つけまつ毛だって百均で買える。こっちのほうがわたし向き。

話を美容院に戻して、美容院の鏡を見るのが苦手だ。いかがですか、と声をかけられても、鏡の中の自分をまっすぐに見れない。子どもの頃のわたしは鏡を見るのが大好きで、小学六年生のとき授業中に書いた小説は、「世界でいちばん鏡を見ている女の子が鏡の国の女王に選ばれる」という自分をモデルにしたものだった。昔は好きだったけど今は嫌いになったというのではなく、昔も今も鏡に映った自分を意識しすぎるのだと思う。

鏡といえば、先日、買ったばかりのMacのアイコンを適当にいじってたら、突然画面にノーメイクの中年女が現れた。見たことある顔だと思って画面に顔を近づけると、相手も前のめりになり、目が合った。そこでようやく、ど近眼のわたしは、ああわたしだ、と気がついた。パソコンに内蔵されたカメラが起動したらしい。無防備なわたしってこんな間の抜けた顔してるんだとショックを受けた。保育園に娘を迎えに急ぐときも、打ち合わせで考えをめぐらせるときも、この顔をさらしているのか。朝出かける前に鏡を見る時間がなく、娘に貼られたシール(「会議」と書いてあった)をおでこに貼りつけたまま保育園へ行ったこともある。鏡を見ないから髪はぼさぼさ、もちろんノーメイク。「この人、ほんとに働いているのかしら」と保育園では不思議がられているかもしれない。
05月11日(日)
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