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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ イタリアン風味の塩せんべい
夕方、娘を保育園に迎えに行く前に、昼にパスタを作ったフライパンを洗っとこうかとのぞきこみ、「!」となった。ガス台にほったらかしたフライパンの光景が見慣れないものになっている。ミネストローネスープの焼さんまを加えたトマトソースを作り、パスタをからめて皿に空けたのだが、フライパンを支配している色は、トマトの赤ではなく、白が混じった茶色。そこで再び「!」となり、弱火のままガスがついたままなのに気づいて、あわてて消し止めた。パスタのゆであがりが12時過ぎだったから、5時間半にわたってつけっ放しになっていたことになる。換気扇もしていないのに、コンロ上の火災報知機は鳴らなかった。パソコンを打っていたテーブルとコンロの距離はわずか1.5メートルだが、フライパンに弱火が隠れて気づかなかった。ずっと魚の匂いがしているので、近所で魚焼いているのかなと思っていたのだが、目と鼻の先でさんま入りソースが煮えたぎっていたのだった。
それにしてもよく焦げ付かなかったものだ、さすがテフロンと感心。フライパンにこびりついた残骸がパリパリのせんべい状になっておいしそうなので、ぺりっとはがして口に入れ、またもや「!」となった。塩辛い! その瞬間、パスタのゆで汁をフライパンに空けていたことを思い出した。あつあつのゆで汁が汚れを浮かしてくれるので、洗いものが楽になるのだ。そして、海水から塩を取り出すように、フライパンの淵ぎりぎりまで注がれたゆで汁が5時間半かけて蒸発し、たっぷり溶かし込んだ岩塩が残った。それがパスタソースの残りと混ざり、イタリアン風味の塩せんべいが出来上がったのだった。
つけっぱなしに気づいた時点でゆで汁は干からびていたから、見過ごしたまま保育園に迎えに行っていたら、戻ってきた頃にはフライパンが真っ赤に燃えて、一大事になっていたかもしれない。先日のボヤ騒ぎといい、今月は火難の相でも出ているのだろうかと疑う。筋肉痛という炎症にも見舞われているし。以前は、ヒヤリとする出来事があっても、結果オーライで反省も軽いものだったけれど、今は「娘が家にいるときだったら」と想像して肝を冷やし、「娘が家にいないときでよかった」と心底ほっとする。
今日の子守話は、おうちが火事!の話。物語の世界だけの出来事でありますように。
子守話I「おたすけゾウさん」
なかまとはぐれたゾウが 川のほとりに
ひとりぼっちでくらしていました。
ゾウは さびしくて こころぼそくて ないてばかりいました。
川のむこうがわにすんでいる たまちゃんが
ときどきあそびにきてくれました。
いっしょに あそんでいるときは たのしいけれど
たまちゃんが おうちにかえってしまうと
ゾウは さびしくて こころぼそくて なきました。
ゾウには かえるおうちがありません。
おとうさんとおかあさんもいません。
たまちゃんみたいに おえかきできません。
いぬさんみたいに はやくはしれません。
ねこさんみたいに 木のぼりできません。
なんにももっていなくて なんにもできない じぶんが
ゾウは とてもみじめでした。
「ゾウさんには ながーい おはながあるじゃない」
とたまちゃんが なぐさめてくれました。
おはなでみずをまいて どうろにおえかきできるじゃない。
おはなをのばせば いぬさんよりはやく とおくのものをとってこれるじゃない。
ねこさんは 木のぼりするのがせいいっぱいだけど
ゾウさんのおはなは 木の上に にもつをはこぶことだってできるじゃない。
そういわれても ゾウはやっぱりくよくよして
ながいおはなをくるくるまるめて
大きなせなかも小さくまるめて しくしくないていました。
ある日 川のほとりでないていたゾウは
ぱちぱちというおとがきこえて かおをあげました。
見ると 川のむこうのおうちがもえています。
ゾウのたったひとりのお友だち、たまちゃんのおうちです。
しょうぼうしゃのサイレンがちかづいてきましたが
みちがせまくて おうちにはちかづけません。
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02月18日(月)
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