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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 英国旅行3日目 巨岩と村と怪人
■今日はMarlborough HouseのLauraおすすめのバスツアーに参加。ストーンヘンジやコッツウォルズの村を7時間かけて案内つきで回る。madmaxという家族経営の会社がやっていて、移動は乗客最大16人のミニバン、お値段もひとり£22.5とリーズナブル。Elgin Villaで早めの朝食を済ませ、abbey横のピックアップポイントに8:45集合。日本人はうちの夫婦と留学生らしい若い女の子二人。あとはアジア系、アラブ系、地元系など様々。ドライバー兼案内係のIanが慣れた口調でイギリスの6000年の歴史を20分で駆け抜ける。ところどころで乗客が質問を投げ込み、歴史の授業風。約1時間でストーンヘンジに到着。
■遺跡の岩のまわりはだだっ広い緑。教科書などで写真は見ていたものの実物の迫力は桁違い。地面に根を張って立つ巨岩の列は、低く垂れ込めた雲ともあいまって、神々しさが漂う。何のために建てられたかはミステリーだが、何か説明のつかないパワーを感じる。古代の人々もこの建造物に常識を超えた何かを求めたのかもしれない。おなじみオーディオガイドはここでも興味深い説明をしてくれるが、懇切丁寧すぎて、最後まで聞いているとなかなか前へ進めない。■土産屋が軒を連ねるということはなく、小さなギフトショップとテイクアウトのSTONEHENGE KITCHENが並んでいるのみ。このキッチンのメニューが妙にそそる。アップルスコーン(£1.95)とお茶(£0.65)を買い、バスに戻って味わっていると、集合時間を過ぎても日本人留学生二人組が戻ってこない。15分が過ぎ、Ianがイライラして探しに行った。車内では「おいおい」という冷たい空気が流れ、わたしも肩身の狭い思いをする。だが、戻ってきた二人はIanが何に苛立っているかわかっていない様子。「集合時間とっくに過ぎていて、皆さんを待たせていたんですよ」とわたしが耳打ちすると、ようやく「マズイ」という顔に。「集合時間聞いとけばよかったね」「だねー」と二人なりに反省していたが、英語力ではなく団体行動力の問題だった。謝るタイミングも逃してしまい、他の乗客には「待たせて平気な日本人」の印象を残すことになった。
■観光名所のストーンヘンジ以外にもこの辺りにはストーンヘンジが点在する、ということで、車で10分ほど行った先にある「石に触れる身近なストーンヘンジ」へ。古代の生命力を秘めた石からパワーがもらえるとか。ご利益ありますように。さて、ここで聞いた興味深い話。この一帯を保存するために買い取った人物が巨岩のひとつをどけたところ、白骨化した男性の死体を発見。石に押し潰されての圧死ではと死因鑑定のため遺骨をロンドンの研究機関に送ったが、第二次世界大戦の最中で、1940年、研究機関の建物が爆撃に遭ってしまう。ところが二年前にひょんなことから大英博物館が遺骨を発見、半世紀以上遅れて鑑定が実現した。その結果、あわれな男性の死因は圧死ではなくblack deathだとわかったという。black deathとは中世の頃に流行った疫病で、当時は人口の25%がこれで命を落としたとか。恐らくペストのことだろう。何百年も前の死体の死因を骨だけで判定できるってすごい。

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12月29日(水)
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