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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 英国旅行2日目 風呂と衣装と作家と演劇

■イギリスの冬は日の暮れるのが早い。昨日は4時を過ぎるともう暗かった。ならば朝が早いのだろうと思ったら、8時を過ぎてようやく空が明るみだす。急げ、昼は短いぞ。Marlborough Houseは「オーガニックな朝食が自慢」と豪語しているだけあって、ヨーグルトから卵から全粒粉の小麦粉から素材にこだわりが感じられる。ソーセージも大豆製品。
■今日はBathの観光名所を見て回ることに。ロイヤルクレッセントというゴージャスな三日月形のお屋敷を横目に見ながらタウンセンターまでぷらぷら歩き、まずはBathの語源となったローマ風呂を見物。コスチューム博物館とのcombine ticketで£13。日本語のオーディオツアーガイドを無料で貸し出してくれるが、これがなかなかよくできていて、解説の日本語もわかりやすいし、ナレーションも聞きやすい。イングランドに攻め込んだローマ人が作ったという風呂は今も約46度の湯が湧き続けているらしいが、見物人は見るのみ。この湯を見て「つかりたい」と思うのは温泉の国の民の性なのか。ローマ人にとって、風呂は湯治の場であり社交場であり商談の場でもあったとのこと。
■祭壇(だったと思う)へ続く階段が大きく磨り減っていた。「これだけ磨り減るのに、どれだけたくさんの人々がここに足を運んだことでしょう」というオーディオガイドの解説に、何千年か前、この遺跡と人々の営みが確かに関わっていたのだと感じた。目の前の石段に流れる時間に思いをはせ、歴史は人なんだなあなどと思う。
■Avon川のほとりにあるかわいいカフェ、riverside cafeで昼食。各国からの観光客でにぎわっている。小さな入口に切り取られて半円形に見える川辺の景色が面白い。若くて愛想のいい兄ちゃんたちがきびきびと働いている。味はけっこう大味だけど、イギリスらしい味とも言える。■楽しみにしていたコスチューム博物館は、中世から現代までの衣装が充実。オーディオガイドとともにじっくり楽しむ。ドレスを実制作する前にサンプルとして作られたミニチュアと実物が並べられていたり、約1世紀の間の衣装の移り変わりが見られたり。貴族の貴婦人のドレスのおさがりを譲られそうになった使用人の女性が「お古をもらったら自分まで古びてしまいそう」と葛藤する話など、興味深いエピソードも紹介されている。特別展示で、映像化されたJane Austen(ジェーン・オースティン)作品の衣装が勢ぞろい。作品の紹介とともに衣装の製作意図が紹介され、興味をそそられる。と同時にJane Austenへの興味もかき立てられ、Jane Austenセンターへ足を運ぶ。司書風のおばさんが上品なクイーンズイングリッシュでJane Austenの生涯を解説。1811年から17年の間に6本の小説(Northanger Abbey 、Sense and Sensibility 、Pride and Prejudice、Mansfield Park、Emma、Persuasion)を出版した寡作の作家だが、どの作品も高く評価され、ドラマや映画になり、幅広いファンに愛されているという。作品は最初から評価されたわけではなく、出版してくれる会社を探すことに苦労したこと、女性ということで低く見られた部分もあったが父や兄の理解と協力を得たことなどを興味深く聞く。
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12月28日(火)
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