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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 鬼が島とマテ貝採りと石窯ピザの小豆島5日目
「不在の存在」(レアンドロ・エルリッヒ)はアルゼンチンのアーティストと日本の美の掛け合わせが興味深い。レストランで飲食する場合、建物と石庭は無料で鑑賞できるが、茶の間の鑑賞には300円かかる。「二枚の鏡」が置かれた茶の間で味わうサプライズが楽しい。推理小説のミスリードのよう。

ここの石庭には「透明人間」が現れる。たまを始め、最初に気づくのは子どもたち。庭を眺めて透明人間探しをするだけでも楽しい。


アートは日本を実にうまく調理しているが、レストランのお味もなかなか。パエリアは売り切れていたけれど、パニーニもカレーも期待以上。



デザートのわらび餅は見た目と味で楽しませてくれ、お値段も良心的。



惜しむらくはオペレーション。平日でこれだけもたついてしまうと、休日は大変な混乱が予想される。スムーズに流れる工夫が必要。「こちら、カレーになります」のなります語の違和感も惜しい。この点は豊島のほうが洗練されていた。



路地を通って「鬼の館」へ戻る。



何かもの言いたげな佇まいの建物たち。そのうちアートとなって再生するかもしれない。



海沿いの道もいいけれど、路地探索も楽しい。



「鬼の館」は観光案内所であり、鬼関係の資料館でもある。帰りのフェリーを待つ間、資料館を見る。陳列棚の上段にお酒の鬼ころし、中段に鬼の出て来る絵本いろいろ、いちばん下の棚に目をやると……「キッチンハイター」のポストイットが堂々と丸見えになっていて脱力。ネタとしては面白いけれど、センスのいい資料館だけに、舞台裏が表に出ているのはこれまた惜しい。

棚にあった『ないたあかおに』を手に取り、たまに読み聞かせるうち、涙で声がつまる。人間の友達ができたあかおにくんが自分の仲間だと思われないようにと旅に出てしまった、あおおにくん、なんていいヤツなんだ。でも、悲し過ぎる。失って初めて気づく、真の友情の物語。

女木島のアート作品について、詳しくはART SETOUCHIのページへどうぞ。
臨時便のフェリーで高松へ。高松から土庄への高速艇の切符は『八日目の蝉』仕様。島をあげて映画を応援。乗り継ぎ含めて1時間20分で土庄着。豊島もそうだけど直行便があれば小豆島が島めぐりの拠点になれる。



土庄港に黄色いレンタサイクルが今もあるのを発見。たまが「きいろいじてんしゃ!」と駆け寄る。『ぼくとママの黄色い自転車』の名残。うれしい。

女木島で十分すぎるほど濃い一日を過ごしてきたのだけど、本日のイベントはまだ続く。まずは、マテ貝釣り。マテ茶は知ってるけどマテ貝は知らない。駐車場で長靴に履き替え、食塩をペットボトルに分ける。塩で貝が釣れるという。



海には先客がたくさん。採り尽くされているのではと案じるが、いやいやまだまだいますよと言う。たまのために、柳生さんがピンクの長靴を買ってくださった。ピンクのワンピースとそろえたように色がぴったり。砂浜で一人だけギャルファッションに。



砂を掘り返し、貝が出入りする穴を見つけて塩をふりかけると、貝が穴から顔を出す。ここで焦ってつかんではいけない。やわらかい身がちぎれてしまう。殻まで出て来たところでつかむ。でも、これまたあわてて引き上げてはいけない。貝との引っ張り合い、駆け引き。貝が力を抜いたところを狙って引き抜く。

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05月04日(水)
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