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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「ドラキュラだぞ!」進級お祝い会
運動会のときには直立不動で、去年のお祝い会もガチガチだったたまが、今日は生き生きと跳ね回っていて、成長したのかなと思ったり、わたしに似てお芝居が好きなのかなとうれしくなったり。1歳児クラスだった去年は「うまくいかなかった。しっぱいした」と反省し、 0歳児クラスだった一昨年は何をやらされているのかまるでわかっていない様子だったから、子どもの一年は大きいなあと感じる。

ダンナの感想は「餃子が無性に食べたくなった」。見どころはそこなのか! で、今夜は急遽餃子となった。これから餃子を見るとドラキュラを思い出すことになりそう。

さて、ちのつくものと赤いものが大好きなドラキュラにアイデアを得て、「ドラキュラとあかいチョコレート」という子守話を先日作ったのだけど、今日の劇を見て手を加えたくなった。「ドラキュラは血以外のものでも〈ち〉がついていたり〈赤色〉だったりしたら食べる」という設定だと思っていたら、ドラキュラの個性(本能)である「生き血を吸う」ことへのこだわりはぶれていないことがわかったので、本来のドラキュラらしさを強調した改訂版を。オリジナル(3月2日の日記に掲載)を「なかよし版」、改訂版を「ひとりぼっち版」と区別することに。

子守話110「ドラキュラとあかいチョコレート」ひとりぼっち版

ひとりぼっちの ドラキュラが いました。
ドラキュラの だいこうぶつは にんげんの ちなのですが
なにせ ひとりぼっちなので にんげんの ちを すうことが できません。

だから しかたなく 「ち」のつくたべものや 
あかいろの たべもので がまんしていました。

あるひ ドラキュラは かんがえました。
あかくて 「ち」のつく あかいチョコレートが あったらな。

さっそく ドラキュラは チョコレートを とかして
まっかな いちごを どっさり いれて かためました。
いちごの まんなかに 「ち」がついているのも
ドラキュラには うれしいことでした。

ところが できあがったのは いちごの つぶつぶのついた
ちゃいろい チョコレートでした。
チョコレートの ちゃいろに いちごの あかいろが
まけてしまったのです。

そこで ドラキュラは あかいペンキで チョコレートをぬりました。
こんどは まっかな チョコレートが できました。
でも かじってみると ペンキの あじしかしません。
あかくて 「ち」がつくけれど まずいまずい チョコレートでした。

ドラキュラは かんがえて かんがえて いいことを おもいつきました。
まっかな たいようが しずむ おかの うえで チョコレートを たべたら
チョコレートが ゆうやけの いろに そまって あかくなるぞ。

ドラキュラが おかの うえで あかい ゆうひいろの チョコレートを 
たべていると にんげんの こどもたちが あつまってきました。
「おいしそうな あかい チョコレート ちょうだいな」
こどもたちに ねだられて ドラキュラは しかたなく 
チョコレートを わけてあげました。
ドラキュラは ほんの ひとかけらしか たべられませんでした。

でも ずっと ひとりぼっちだった ドラキュラは
たくさんの こどもたちと たべる その チョコレートが
どんな にんげんの「ち」よりも おいしく おもえました。

しかし かなしいことに ドラキュラは ドラキュラです。
おいしい チョコレートを たべて こどもたちの ほっぺたが
ほんのり あかく そまると もう がまんが できません。

ドラキュラは こどもたちに おそいかかりました。 
ひとりのこらず くびすじに くいつきました。
そして まっかな 「ち」を おもうぞんぶん すいました。
ひさしぶりに あじわう にんげんの 「ち」です。

おいしい おいしい はずでした。
うれしい うれしい はずでした。
でも むちゅうで 「ち」を むさぼった あとで

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03月06日(土)
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