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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「リア充」と朝日歌壇
菜菜ちゃんがママになったとアテネから写真が届く「美菜(ミイナ)エレニ靖子」(横浜市)宮本真基子
佐佐木幸綱選第10席のこの歌について、〈安楽死の詠み人 孫の名に「再生」〉の見出しでコラムがあり、オランダで10年、がんと闘った後、97年に安楽死を選択、52年の生涯を閉じたネーダーコールン靖子さんのことが紹介されている。歌にある「菜菜ちゃん」は靖子さんの娘、「美菜エレニ靖子」さんは孫となる。靖子さんは朝日歌壇の常連であり、「臨終を看取った知人が作歌ノートから筆写、ファクス投稿し、選者全員が採り、共選の星印が四つついた」という。その歌、
座すことの叶う日再び来ることを祈りて入りし三たびのオペ室
に覚えがあった。掲載時に見たのか、その後どこかで紹介されていたのが目に触れたのか、一度読むと記憶にくっくり刻まれる強い歌だ。そうか、この歌を詠んだ人の娘さんがお子さんにお母さんの名を……。ここにもバーチャルなはずなのにリアルな生の実感がある。「没後10年余、遺族との連絡を保った歌友の存在に心打たれた」とコラムにあるが、常連だった頃から知る人にとっては感慨もひとしおだろう。巻頭に家族の肖像写真が付されているという遺歌句集『オランダはみどり』も手に取ってみたくなった。

そして、公田耕一さんはどうしていらっしゃるのか。

11月10日(火)
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