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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 全日本ろうあ連盟創立60周年記念映画『ゆずり葉』
これからオーディションを経て、今秋撮影、来年6月から全国四百か所を目標に上映をしていく予定だという。ロケ地は古い町並みが残っている本郷、谷中、根津、千駄木エリアとのことで、わたしの散歩圏。ろうあ連盟がはじめてつくる映画が地元で撮影されることにも縁を感じる。聾者親子のかけあいでロケ地を案内するビデオも楽しかった。

全日本ろうあ連盟が映画をつくる意義についても語られた。活字ではなく幅広い人たちが共有できる映像で、聾者の想いを形にし、届けたい。折しも連盟は60周年。人間で言えば還暦を迎え、映画という赤ちゃんに連盟の想いを託すことになった。

連盟理事長で製作委員会委員長でもある安藤豊喜さんは、連盟が歩んできた60年を「聾者が置かれていた谷間から引き上げるたたかい」だったと語った。今日では考えられない苦労や屈辱を跳ね返しながら、ひとつひとつの権利や約束を勝ち取ってきたのだろう。その運動の歩みそのものが、ゆずり葉になっている。

より生きやすい社会を子らにゆずり渡すことを願い、懸命に生きた親たち、そして、そのまた親たち。そんな『ゆずり葉』の生き様が映画に描かれることを期待し、一人でも多くの人に届く作品になればと思う。

ロケ地にもなる文京区の成澤区長(「文京区長」の手話が受けた)をはじめ、出席者のスピーチはそれぞれ味があり、映画についている応援団のたのもしさが伝わってきた。もちろん、想いはあっても「資金」がなくては映画の完成は難しくなる。けれど、一人一人の想いが合わさり、うねりとなったとき、映画づくりに必要なもの(お金はもちろん物や人も)を吸い寄せる力が生まれることも事実。

今夜の会には、すでに熱い波が立ちはじめていた。その滴を持ち帰り、冷めないうちに日記に記したつもりだが、読んだ方に熱が伝わり、映画『ゆずり葉』を応援する波がひろがることを願っている。
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05月31日(土)
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