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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ シナトレ8 コンクールでチャンスをつかめ!
調理(発想)法を鍛えるやり方として紹介したのは、「レシピ分析」と「食材からの発想」。「レシピ分析」は、名店で感動の味に出会ったときに「これ、どうやって作るんだろ」と想像するのと同じように、お手本にしたい作品がどういう要素をどう調理して成り立っているかを分析する。さらに、そのレシピを真似して作ってみると、より力がつく。「食材からの発想」は、冷蔵庫にあるものやスーパーの特売ありきでメニューを組み立てる主婦のやりくり術の脚本版。ある食材(ネタ)をどう調理するのがおいしいか、考え、実際に作ってみる。同じ素材でいろんなパターンを作って食べ比べたりすると、めきめきとアレンジ力が身につく。
そして、忘れてはならないのが「試食」。料理人本人だけでなく、まわりの人にも食べてもらい、聞いた意見を反映させること。その柔軟性と応用力があるかどうかが料理人として伸びる鍵。締切ぎりぎりに書き上げた初稿をそのままプリントアウトしてコンクールに応募するのは、自分のレストランを出せるかどうかの勝負の一皿を、味見もしないで出すようなもの。料理人の顔が見えなくても、手を抜いた一皿には気の抜けた味しかしない。でも、食べる人の顔を思い浮かべ、その人を喜ばせようというサービス精神と意気込みを注いだ一皿は、作った人の顔が見たくなる。……と例えてみると、思った以上に脚本と料理はよく似ているなあと話している本人が納得してしまった。
質問の手がいくつも挙がった昼の部の講義が終わると、「運命の出会いです!」と駆け寄ってくださる人あり、「お茶をしませんか」と誘ってくださる人あり。夜の部までの2時間強を近くのカフェで過ごす。以前教えたクラスにいた男の子が1人と、今日会った人が4人。「50歳以上は去れ」だの「書けないやつは一生書けない」だのきつい言い方をする脚本家もいるらしく、「誰にでも書ける」というわたしの話に勇気づけられたという。生徒を引き受けた以上、いいところを引き出して教えるのが講師の仕事だとわたしは思うし、初心者の生徒であっても相手に敬意を払うべきだと考える。だけど、下手な期待を抱かせちゃっているのかなあという迷いもある。料理と同じで作り続ければうまくはなるけれど、料理と同じく、プロとしてやっていけるかどうかには壁があるのかもしれない。それでも、食材と調理法の掛け合わせがうまくいけば、コンクールの一点突破は夢ではない、そう言い切れる。だから、コンクールでチャンスをつかめ!
◆2007年10月27日(土) シナトレ7 紙コップの使い方100案
◆2006年11月07日(火) シナトレ6 『原作もの』の脚本レシピ
◆2006年03月02日(木) シナトレ5 プロデューサーと二人三脚
◆2005年11月01日(火) シナトレ4 言葉遊びで頭の体操
◆2005年10月12日(水) シナトレ3 盾となり剣となる言葉の力
◆2005年07月27日(水) シナトレ2 頭の中にテープレコーダーを
◆2004年09月06日(月) シナトレ1 採点競技にぶっつけ本番?
04月22日(火)
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